マーくんパパ

バンド・ワゴンのマーくんパパのレビュー・感想・評価

バンド・ワゴン(1953年製作の映画)
3.9
ライザ・ミネリが父の映画を解説した副音声がとても面白い。制作時7才のライザがスタジオ見学していた思い出も含めジャック・ブキャナン演ずる監督像が父ミネリそっくりという逸話等聞いてるだけで楽しくなる内容。かつてのミュージカルスターも今は時代に取り残されオークションでも愛用品に値がつかない落魄れぶりのトニー(アステア)が新進バレエダンサーと組んでハムレット劇のような重たい題材のブロードウェイミュージカルに嫌々臨むが内容は共演者や演出家とぶつかり惨憺たる結果に終わる。そこで挫けず自身が演出家として大幅に内容を変えて軽快なミュージカル劇に仕立て直し地方興業を経てブロードウェイにカムバックする内幕モノストーリー。ブロードウェイ通りの黒人靴みがきと踊る“shine on your shoes”や公園でシド・チャリシーの白いスカートが優雅に揺れる“dancing in the dark”、ラストクライマックスの“girl hunt ballet”と見どころ満載。こうしてライザの解説聞きながら改めて観るとアステアの偉大さがよくわかる。まさに「that's entertainment」の映画でした。