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チャップリンの殺人狂時代のmikumiku1188のレビュー・感想・評価

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
4.5
チャップリンの想いをあの言葉に秘めた事が深いのです。

この著名な作品をまだ見ていなかった事に気が付いて鑑賞しました。

何時みても紳士の姿を崩さないチャップリン。今回は第二次世界大戦後のフランスを舞台にして裕福な中年独身女性を狙った連続殺人犯を演じている。
彼自身も荒廃した社会の波にもまれ、30年も務めた銀行をクビになっていた。就職もままならない社会の中で彼が選んだ職業と彼自身は思っている。事実それで足の悪い妻と息子を養っていた。
フランス全土にて悪事を繰り返すことによって、悪事が継続できるわけもなくついに警察に捕まることになる。そして裁判で斬首の刑が確定し、刑の執行が行われる直前にあの有名な言葉を残すことになるのだった・・・。

チャップリンの社会風刺の作品は私には常に可笑しさの中に切なさを織り込んでいるように感じていました。思わず笑顔になってしまっている中でナルホドと少しはチャップリンの心を感じる事が出来たかな?という思いでした。
しかし、この作品ではあの言葉の記憶を残したままの鑑賞でしたので、笑いのシーンでも口元が緩む程度にしか笑えません。大量殺人兵器を使う戦争の惨さ、そんな社会に翻弄される小市民の苦しさを作品全体の中で訴えているのでしょう。

『独裁者』とこの作品はそんな彼の思いを見事に表現した作品で偉大さを感じるものです。
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