ギョギョン

チャップリンの殺人狂時代のギョギョンのレビュー・感想・評価

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
4.0
素晴らしいの一言。
原題が『Monsieur Verdoux』(ムッシュー ヴェルドゥ、ヴェルドゥ氏の意)なんだけど、はー、何から何まで完璧だなと思った。チャップリン演じるアンリ・ヴェルドゥは複数の裕福な中年女性と重婚しており、金に困ったら殺害して金を強奪することを繰り返していた。まあ、言ってしまえば青ひげ、極悪人なのだが、ヴェルドゥはそれぞれの夫人の前で見事にそれぞれの、仕事に勤しむ夫を演じていた。(ヴェルドゥは1人なんだけど、ある時は貨物船の船長、探検家、家具屋の主人、、というように、複数の顔を持っているのだ。)夫としての親切さ、夫人に対しての愛(を持っているように見せかけること)も忘れない。彼は凶悪な殺人鬼でありながら、立派な紳士なのだ、、
この映画の舞台は1930年代、まさに第二次世界大戦の前夜である。戦争は大量殺戮を正義とし、殺せば殺すほど認められる。一方でヴェルドゥは・・・
あの有名な台詞は、何度聞いてもぞっとする。人間って、都合の良いように解釈して生きてしまうんだと思ってしまう。社会も何もかも巻き込んで、失ったものの大きさに気づかない。ヴェルドゥも、気づいてない。

Monsieur Verdoux, au revoir.