キミシマユウキ

チャップリンの殺人狂時代のキミシマユウキのレビュー・感想・評価

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
3.4
30年間勤めていた銀行を不況で解雇され、妻子を養うために多くの女性を結婚詐欺で騙し、殺してお金を奪うことで生計を立てていた男の物語・・・

喜劇王チャールズチャップリンを見るのは三作品目。
第二次世界大戦終了後の時代に制作したかなりの意欲作でこれをきっかけにハリウッドを追放されることになったという。
この時代になってくると作品の方向性が笑いの要素よりも社会へのメッセージ等が強くなってきているように見受けられる。もちろんクスクスと笑える日本でいうドリフ的な笑いも散りばめられてるのでコメディとしても楽しめる。
チャップリン自身も「黄金狂時代」では可愛らしいおじさんのイメージだったが、今回は熟練の老紳士のような雰囲気でだいぶ大人びていた。
(チョビヒゲも自前らしい)

この作品を知らなくても終盤に放たれる彼の名セリフ

「一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が(殺人を)神聖化する」

は知っている人が多いかもしれない。
「独裁者」然り、映画中のセリフが時代を渡って伝わっていくのはチャップリンの凄さなのかもしれない

歴史的背景や彼の意思等を考えると素晴らしい出来だと思うが、勉強不足&エンタメ映画大好きな自分には少し物足りなく感じてしまった。

チャップリン作品ファン、シニカルなコメディを観たいという方にはオススメの作品