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チャップリンの殺人狂時代のWestRiverのレビュー・感想・評価

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
3.5
チャップリン、殺人鬼に扮する。

経済不況によって30年勤めた銀行をあっけなくクビになったチャップリンが、金持ち中年おばさん達と重婚し、殺害するという何ともシリアスな作品。

チャップリンの持ち味であるコミカルな演技は抑えられ、頭が良くてずる賢いキャラだったので、非常に新鮮に思えた。
唯一笑えたのは、お札の枚数を数える速度が尋常じゃなく速いという事。
目立ったギャグシーンは2,3しか無かったかもしれない。

チャップリンが伝えたかった事は、最後の「1人を殺せば悪党だが、100万人を殺せば英雄」というところにあると思う。
政府主導で大量殺戮兵器を作って、今日死ぬとも思っていなかった市民を殺す事と、自分がやってる事に何の違いがあるのかと。
戦争を体験した人にしか分からない感覚。

死刑が宣告された時の台詞も印象強い。
「あなた達とまた早く会えると思いますよ。とっても早くに。」
うーん、皮肉が効いている。

いつものドタバタ劇を期待している人は肩透かし食らうかもしれないけど、こんなシリアスなチャップリンも中々珍しいので、一見の価値あり。
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