わきお

チャップリンの殺人狂時代のわきおのレビュー・感想・評価

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
3.7
◼️金融経済の坩堝

金融市場の低迷により長年勤めた銀行から解雇された男ヴェルドゥ。家族を養うために富裕層の独身女性を狙った結婚詐欺を仕掛け、財産を奪った後に殺害する方法で生計を立てていた。上手くことが進んでいたが徐々にほころびが生まれ…
というお話。

ブラックユーモアに満ちています。方々で暗躍する彼の忙しなさはチャップリンお得意のドタバタさも相まって笑いを誘うも、善良な小市民が生活のために悪事に染まっていく様は悲しい。
金融経済に縛られて底に堕ちてしまった人々が、お金と呼ばれる紙切れを得るために人間の道理を捨てる様は実はとても滑稽なのだろう。

人を殺してお金を得ることが犯罪であるならば、人を殺める兵器を製造する企業や戦争が咎められないのは何故か。
ヴェルドゥの言葉は重犯罪者の詭弁か、それとも…。
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