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シリアの花嫁のaaaakikoのレビュー・感想・評価

シリアの花嫁(2004年製作の映画)
4.0
トルコ、シリアにお祈りを④

ゴラン高原にあるマジュダルシャムス村は、1967年の中東戦争でイスラエルに占領され、シリア側と分断。住民は「無国籍」になってしまった。
その村からシリアに嫁に行こうとする花嫁と家族を描いています。コミカルなんだかシリアスなんだかわからない、独特のおもしろさがあったと思います。

真っ白いドレス姿の美しい花嫁は、不安でいっぱいで笑顔はありません。
シリアにお嫁に行ったら、もう2度と実家には戻れないからです。それに、結婚式は「境界」で行われるんだけど、当日は大統領追悼デモが行われるかもしれないといって警察が警戒しており、さらに花嫁の父親は親シリア運動家として保護観察中。長兄はロシア人と結婚したため村を追われていて…と、これでもかと問題が山積み!
結婚生活への不安、親子、夫婦仲、嫁姑、親戚づきあいなど、わたしたちにも身近に感じられる人間関係の悩みがありながら、やはり女性が自由に生きられないイスラム社会がそこにはありました。
一方で、男性だって大変そうだな、というのも感じられたのが印象的でした。

ラストのネタバレ少々ですが



最後は、一人で歩いていく花嫁がとても良かったと思います。
もう、彼女は、一人で歩いていかなくてはならないのですから。
行く先には、面倒見の良い姉も、兄も、優しい母親も強い父親もいません。
一人で歩いて、解決していかなくてはならないのです。

それにしても、結婚できなさすぎ!
カメラマンが良い味出してましたね。
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