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シリアの花嫁のRilyのレビュー・感想・評価

シリアの花嫁(2004年製作の映画)
3.5
知り得ない世界。97分間、十分見応えあり。
誠に勝手ながらシンプルにあらすじを説明させて頂くと…
挙式当日の新婦と新婦側親族の、朝から夕方までの人間模様。嫁ぎ先は目と鼻の先だが、嫁いでからは“一切”、生まれ育った故郷には帰れない…家族・友人にも会えない…連絡も取れない、まるで“他人”になっていく準備物語…という感じ。
もちろんこんな簡単な話ではなく、政治的・宗教的・歴史的背景があるが、劇中で教えてくれるので割愛。

仮に複雑に邦題を変更させて頂くと…
『ゴラン高原というイスラエル占領下の地域に住む無国籍状態の女が、隣国のシリアに住む一度も会ったことのない男のもとに嫁ぐことで、同時にシリア国籍を取得するが、両国には交友関係がないため、2度と故郷には戻れないことを知っていて、複雑な心境に陥る花嫁物語』といったところか…。
(某アイドルグループのタイトルみたいだ)

話の軸は花嫁が嫁ぐこと。ただ、彼女(次女)を取り巻く、長男夫婦と父とのギクシャクした関係性…長女夫婦の破綻寸前の関係性…等も絡めてくる。
すべて共通して言えるのは、どれもこれも“近いようで遠い”世界。
それらを踏まえた上で、ラスト、劇中の花嫁が自ら決めた選択には驚きと同時に、グッとくるものがある。
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