Tyga

シリアの花嫁のTygaのレビュー・感想・評価

シリアの花嫁(2004年製作の映画)
3.4
さまざまな境界についての映画。

舞台がイスラエルの占領下にあるシリア人の居住区域で、そこからシリアに嫁ぐというお話。

が、境界はそれだけでなく、開始1時間で様々な境界を見せられる(長女の夫婦、父親と長男、長女の夫と長女の娘、ウクライナ人の長男嫁との言語と文化の違いetc.)

そして、国境を越える段にいたって、イスラエルからの出国印に関して結婚の当事者じゃない人たちが揉める。

で、ここからが様々なコントラストを見せる。父親は長男は歩み寄り、長女夫婦は断絶を深くする。

国同士は担当者が歩み寄りを見せるのだが、最後に破談になる。個人的にはこの終わりかたがあまりにリアリティーがなくあり得ないと感じてしまった(個人主義のアラブ人だとしても)。
問題はまだ解決していない、としたい意図はわかるが、「国境なんてくそったれ」というメッセージを95分間受信した後で、国境について問題提起されても、という印象になった。

長男夫婦(医者と弁護士)の資格は国境を軽々と超えるのはとても面白かった。

個人的にはビジネスマンの次男(若干チャラ目の色男気どり)が、様々な関係を取り持とうとしていて、めっちゃいいやつじゃん!と思った。

格言で「商品が国境を越えれば、兵士が越えることはない」という言葉があるが、彼は国境自体と闘っているのではないか。
パスポートの「無国籍」が彼については燦然と輝く。
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