Tygaさんの映画レビュー・感想・評価

Tyga

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The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

3.2

シーゲル版と比較すると女性の心理描写に重きを置いているというか、誘惑のシーンが抑えめでグロテスクな切断シーンも省略されている。
それでも、しっかり眼や表情が彼女たちの昂揚や、恐怖を物語っているのは良か
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マリー・アントワネット(2006年製作の映画)

3.1

宮殿×ロックという組み合わせは割とハマっていたと思うし、豪華で見栄えの良いクラシックな画面と現代的なギターサウンドが合わさってオリジナリティーのある映画になっている。

ただの女性から皇太子妃になり、
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ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

4.0

少女たちの自殺劇と聞いていたので、観る前はどちらかというと若い女子に対する過剰な視線への憎悪とか、女性性とかそういったことに終着するのかと思ったけれど、それもあるけどどっちかというと語り部になる男子(>>続きを読む

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.5

犬がすべてを見ているし、きっと父もすべてを見ている。言わずもがな、アイスランドの大地や火山も。

結構好きな映画だった。
がいかんせん、自然の美しさ云々の前に牧師がクソすぎて「さっさとどっか行け」以外
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白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)

3.9

思ったよりしっかりハーレムみたいで最初からイーストウッドがモテモテなので何じゃこりゃ、と思っていたけれど、中盤の印象的な階段の転落から驚きのある展開が続いて最後までドキドキしっぱなし。

全員が割と狂
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

3.4

永遠に消えない光とはなんぞや。芸術とはなんぞや。撮影現場の秩序やら、出演する人々の感情やらはその芸術とやらとどちらが偉いのかということを考える。

考えるけれど、実際カメラが回ってしまえば誰かがカメラ
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PIG ピッグ(2021年製作の映画)

3.5

サスペンスとかスリラーとかいうジャンル分けが本当に的外れというか、こんなミスリードなことがあるのかというくらいの作品だった。
そういうのを期待して観た人はめちゃくちゃ肩透かしを喰らうと思う。
ただ、こ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.3

「性」の匂いのしないBLっぽさとあくまでちょっと可愛らしい感じの中学生感、全部好みのタッチ。そして、この原作面白いんだろうなと。
シャケの皮を父親のどんぶりにのせる母親と、後輩を慰める副部長を見ながら
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ザ・シャウト/さまよえる幻響(1978年製作の映画)

-

割と覚悟して見たけど、それをさらに上回るくらい変な映画だった。
最初、若干疲れてる時に見て訳わからなかったのを疲労のせいだと思って、よく睡眠をとって観直したけど、やっぱり変だった。

叫びで人を殺すこ
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破局(1961年製作の映画)

-

ほぼ机回りだけで12分間楽しませる力量はさすがとしか言いようがない。最後だけ本当に心配になる終わり方をしてて、びっくりした。まあ、おそらく何とかなっているんだろうけど。

引き出しから出てきた銃にも一
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血は渇いてる(1960年製作の映画)

3.5

自分が作り出した偶像の暴走(?)に耐えられなくなる様がどこか怪物映画のような趣も感じられた。彼女にとって木口とはどういう存在だったのか。切れて清々した気持ちという単純なものでなさそうなのは、踊り狂う夜>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.0

なんかグロいよと聞いていて観たら、割とずっと綺麗で拍子抜けした。
猫はおそらく全てを見ているし、犬はおそらく何も見ていない。

深読みというか、明らかに神話とかキリスト教への造詣が深くないと100%は
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マーゴット・ウェディング(2007年製作の映画)

3.0

大人みんなダメダメ、なのに見下し合ってて最悪映画だったのだけれど、いまいちハマらなかったのは、単純に隣の家の人たちがイカれすぎてて怖かったというのもある気がする。
とはいえ、最後はなんかフランシス・ハ
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悪の華(2003年製作の映画)

4.0

登場人物は全員まともではないが、では観ているあなたはまともですか?と言わんばかりの物語で普通に楽しかった。

「華麗なる一族」的なメロドラマではあったが、若い女に本当に目がなくて母親の選挙を応援しない
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最後の賭け(1997年製作の映画)

3.3

現実的で生活感のある初老の詐欺師と、いい女ユペールがバディを組んで金持ちから「人生経験」と割り切れる分くらいのお金をせしめるポップなクライムムービーかと思いきや、中盤から大きく物語の方向が変わっていっ>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.7

ハイスタ・ヴィットゥ!
いい映画だった。

おそらく、そこに付く接頭辞は「めっちゃ」ではなく「まあまあ」みたいなものになるんだろうけど、それでもいい映画だったし、好きな映画だった。
彼との出会いとか仲
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素敵な歌と舟はゆく(1999年製作の映画)

3.8

もっとご機嫌な物語かと思ったら、意外にもダークな部分も多くて、特にカフェの娘とバイクスーツナンパ野郎のところとか、自宅を大爆破させる聖像店の店主とかも載せて群像劇の船は行く。
世の中の何もかもに、均等
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

-

画面がずっと豊か。人がたくさん。
短編なのにめちゃくちゃしっかりした充実感を味わえる。

髭剃りフォーム泡もわもわの彼にも幸福な一日になりますように。

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

4.0

何度も声出して笑った。
1番のお気に入りのシーンは、ステラに見惚れてしまって全部あべこべに口に運んでしまうところ。
音の作り込みも楽しい。

エレベーターと階段のところは、なんか男性として魅力的じゃな
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倫敦(ロンドン)から来た男(2007年製作の映画)

4.0

モノクロの荘厳さ、光のゆらめきや反射の偉大さを感じ、時折襲いかかる睡魔と戦いながら、久々に映像の中に沈んでいく感覚を味わえたので、いい映画だったと思う。

物語は割とありそうな感じの切り口で、中年の警
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絶好調(1965年製作の映画)

-

優雅にソロキャンプするつもりが連れて行かれたのは人がめちゃひしめき合う難民キャンプ?かと思いきや、囚人キャンプ!?
動きと表情で笑える正統派なコメディーでめっちゃ楽しかった。
あのてんやわんやからすぐ
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健康でさえあれば(1966年製作の映画)

3.8

短編×4のオムニバス中編。
あんまり関連性は感じなかったけど、どれも面白かった。

1.不眠症

オチが意外な展開だった。それと、びっくりするくらい黒と光のコントラストが美しかった。
なんかこういう就
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.5

何気なく見始めたらこの上なく豪華でスペクタクルだった。
チャップリンへの愛。フェリーニへの愛。そして、サーカス(≒フリークス)への愛。そしてら現実社会の出来事(世界恐慌、ナチスドイツ、第二次世界大戦)
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.7

小説家として成功している妻と、それを志しながらも書くことができず不本意ながら学校の先生をしている夫。2人の間にいる眼の見えない一人息子。
夫の転落死に残された不審な点から妻は起訴され、法廷で家族の秘密
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アインシュタインと原爆(2024年製作の映画)

2.6

オッペンハイマーに合わせて配信されていたであろうので併せて鑑賞した。

アインシュタインもオッペンハイマーも「対ナチス」のために大量破壊兵器を作らなければならないと考えていたとするなら、やっぱりなぜそ
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

-

宙吊りの問いと、この人はまだまだ撮りたかったんだろうなという確かな無念を受け取った。

言葉で語ることの便利さと危うさを自覚しながら、残された私は考えるしかない。

イメージの本(2018年製作の映画)

-

広げた両手に何を持つか。

公開時、とてもゴダールの映画を見ようという生活をしていなかったので、そのままにしていた作品。今度、遺作を観る前に見ておこうと思った。相変わらず難解だけれども、よくわからん観
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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

4.2

タイトルとか出てる時の生活の音確かめながらタイプライター打つところから始まり、音へのこだわりを「可視化」した作品だという風に感じた。
映画は物語はフィクションでしかないのならば、フィクションをリアルた
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カンフー・マスター!(1987年製作の映画)

4.1

14歳の少年(娘の同級生)に惹かれてしまう40歳女性のお話。
少年のナチュラルな背伸び具合と40歳でも恋をすると余裕が無くなるという感覚がリアル。

繰り返し出てくる「AIDS」の啓発は、性愛行為自体
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砂の惑星(1984年製作の映画)

2.4

「砂の惑星」のRTAやってんのかと思うくらいすべてが早回しでイベントを消化していくように流れていく。
これ見てから今のやつ見に行ったら新2作の評価爆上がりすると思う。

あまりのB級映画感ともろもろの
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

原子爆弾の生みの親の伝記映画。
ユダヤ人として「ナチス」は許せないという思い。
ひとりの人間としての信条を守るという思い。
国家が莫大な費用と時間をかけて自分に投資してくれたことに応えたいという思い。
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.0

ゼンデイヤの表情が常にめっちゃ良かったし、前半のサンドワームに乗るところのドキドキワクワク感は楽しめたが、全体としては尻すぼみというか。
ただ映像はとにかく美しかったというか強かったので、劇場で見れた
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ファミリー・ネスト(1977年製作の映画)

3.8

部屋さえあれば……。
罵り合いとゲームと世間話と喧嘩が同時並行で進んで、人の顔のアップがぐるぐる回ってく冒頭の長めのシーンと、遊園地のシーンは楽しかったが、それ以外はずっと不快指数が高めの映画だった。
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.9

人生は全体がひとつの作品ではなく、瞬間瞬間で切り出されていく様が作品であり、なのでひとつの作品が終わりを迎えたところで、人生は変わらず続いて新しい作品の予感を漂わせる。

自分が余裕ない時に勝手なわが
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イントロダクション(2020年製作の映画)

3.7

何かの物語の終わりを告げるようであり、はじまりを告げるようでもある3つの短編。
時系列がばらばらとなっている+大事な決断は端折られているので、行間を読むというより、勝手にこっちで行間を作っていくという
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(2023年製作の映画)

-

目がパッキパキのカンバーバッチを見るためだけの短編。
こんなワンテーマでもちゃんとウェスアンダーソンの作品になってるのはすごいね、というくらいの感想。

短編全部17分で終わらせるのはすごいかもしれな
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