柘榴の帽子

やさしい女の柘榴の帽子のレビュー・感想・評価

やさしい女(1969年製作の映画)
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ドストエフスキーの方は主人公の男のエゴイスティックな部分や、自己愛性人格障害気味なところを嘲笑するかの様な描写がされていたのに対し、ブレッソンはそれをかなり削ぎ落としていた印象を受けた。削ぎ落とすというか、露骨な表現を極限まで避けている感じ。そうすることでより男の内面が引き立っていた気がする。

ブレッソンの映画の裸体やベッドシーンは本当に清純さがすごいというか、禁欲的に見せることで、透明なエロスが描き出されてる感覚…とにかく清らかで神聖。驚く。

あと手元のカットはやっぱり執念深いものを感じた…他の作品みてもやはり手の動きに関しては異常なこだわりを感じる。主観的な感想ですが。

原作との比較で言うと、男は女の教養と知性に惹かれたことが強調されるけど、その点に関しては映画の方が暴力的に感じた。特に映画の方で足されていた、ハムレット観劇後に女が原著と舞台を比較するシーン。女の知性と教養が浮き彫りになる反面、それが男の執着心をさらにエスカレートさせるきっかけにもなっていた気がする。女にとっては男への抵抗だったけど、それがさらに男を掻き立てていくって様…うぅ
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