薔薇

3時10分、決断のときの薔薇のレビュー・感想・評価

3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)
5.0
ジェームズ・マンゴールド監督。
凶悪な男ベン・ウェイドを3時10分ユマ行きの列車乗せるために主人公ダン達が護送する。

巧みな人間ドラマを構成するのが上手すぎるジェームズ・マンゴールド監督は今作も西部劇というジャンルの中で、ギラギラと輝く”男のドラマ”を構築する。

南北戦争で片脚を失い戦い抜き、家族を養う男ダンと根っからのアウトローで悪のカリスマ的な男ウェイドの対比が素晴らしい。それのおかげで終盤の唐突な展開に200回は納得できるくらい、人間描写が上手すぎる。納得どころじゃなく泣けてくる。

このキャラクター設計が見せるのは西部劇というジャンルの基本形である勧善懲悪という構造を逸脱した、新しい勧善懲悪と言える。

キリスト教のモチーフが2人の違いを際立たせる。背負ってきた男と奪ってきた男。それが積み重なっていき、3時10分のシーンのあるワンカットがもう物凄い。

西部劇という衰退したジャンルの中で今まで見られなかったような人間ドラマが構築されていた。ジェームズ・マンゴールド監督作だと今作と『LOGAN』はセットで見逃せない2作。2000年以降の西部劇だとずば抜けて面白いんじゃないか。
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