オーウェン

グッドナイト&グッドラックのオーウェンのレビュー・感想・評価

3.9
まず言えるのは、この作品に感動を求めると肩透かしを喰らうという事。
TVで赤狩りを報道したエド・マローと、その番組のスタッフたちのあくまでも実話を描いているだけ。

時は1950年代アメリカ。
赤狩りの先頭に立つマッカーシー上院議員を批判するため動いた報道キャスターのエド・マロー。この批判がどのような影響を及ぼすのかが焦点。

何よりもこの映画はエド・マローを演じるデビッド・ストラザーンに尽きる。
ニュースを読むあの毅然とした表情。赤狩りを追及する男に怖いものなどないのかと思いきや、放送が終わった後の焦燥感が堪らないほど活かしている。
真実を追い求めた男に下されるもの。見事な演技に舌を巻く。

そしてジョージ・クルーニーの演出も見事。
全篇モノクロで描かれているが、これは時代を鮮明に映すと同時に、ある小道具が非常に印象に残る。それはタバコ。
タバコが出てこないシーンは無いほど皆喫煙。これがモノクロにバッチリハマっている。

軽快なジャズの音色に乗せて歴史の一部分を写した。
社会派の中でも傑作の域にある。
オーウェン

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