佳作。
意図せず得た能力は悲劇を回避できることにも使えるのだが、次第に周りを遠ざけてしまった。
世の中って未然に防ぐと叩かれるよね。この世のあらゆる世界に「未然に防げばよかった」なんてことがあって「あんなこともこんなこともできて防げたはずなのに。」なんてさ。泣いちゃったりしてさ。そこに能力のある人が「私は見えるんだ、それをやっちゃいけない」とか言っても、あんたの予言なんか聞く耳をもたてないと一蹴される。そこを無理やり助けてもねえ。未然に防ぐことのできる人がいてもだれも耳を貸さないよ。事故の後にカッコつけて啓蒙したやつに持ってかれる。
だからジョニーは見えないところで苦しむ。事前に防ぎたくてもそれをやったら化け物扱い。
デビットクローネンバーグ作品はキワモノ扱いされていた時期だがコアな熱狂的ファンに支持されていた。キワモノギミックが一つ一つに熱量をもって語りつげられている。今回はそういうのが少ないかもしれないけどイケる。
でも本当にすごいのは映像とかカメラワークとか普通の部分。普通のところを普通にしか描かない。普通のところを普通に撮らないとわけわからなくなるもんね。
脚本もね。キングがどこまで許したかは知らないが、いい脚本だと思う。
当時、クリストファーウォーケンはこの手の美しい優男や、勇猛果敢で顔色を変えない冷徹な男をさせると右に出るものはいなかったと思う。
マーティンシーンやヒトラーを殺してもすぐに代わりの奴が出てくるに違いないね。
今スキャナーズ観てる。