私の大好きな漫画家である、つげ義春の原作。
原作の持つ旅モノの魅力をうまく引き出していると思う。
駆け出し脚本家の坪井と、映画監督木下。
彼等は共通の知人である船木とともに、日本海の鄙びた温泉地を旅行しようとしていたが、肝心の船木が待ち合わせの駅に現れない。
仕方なく二人で貧乏旅行をすることに。
二人で海岸線に座って海を見ていると、上半身裸のあっちゃんが走ってくる。東京から来た21歳だそうだ。
そのまま成り行きで3人で旅を続けることとなり・・・
事件らしい事件はおこらず、劇的なクライマックスがあるわけでもないのに、観終わった後に充実感が残る。
金がないため安宿に泊まることになるのだが、その安宿がひどい宿でもう笑うしかない状況がよくわかる。
釣りに出かけるが全く釣れず、宿の主人が釣った魚を5,000円で買わされたり、民家に泊めてもらうが、家族が多すぎて居心地が悪かったり、名ばかりの露天風呂に入る羽目になったり、大笑いはできないがクスリとできるシーンが連続する。
冬の鳥取でのロケの効果も抜群で、荒々しい日本海の表情もいいが、雪の砂丘の上をあっちゃんが戯れるシーンがめちゃくちゃ美しい。
山下監督、同じくつげ義春原作の、
『海辺の叙景』を映画化してくれないかな・・・