ドナルド

彼岸花のドナルドのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
5.0
古きよき日本が凝縮されたthe小津映画で、同名監督初カラー作品でもある。早くも『おはよう』で見られるような真っ赤なヤカンなど彼独特な色使いが随所に見られる。経験はしたくないが、平成生まれながらとても懐かしく心暖まる作品であった。
作品を通して山本富士子、有馬稲子、久我美子などの美人女優が画面を彩る、そして彼女たちの持つ様々な恋愛観や結婚観もおもしろい。全く肯定できないが、佐分利信を始めとする典型的昭和の頑固親父たちも不器用ながら家族を思っているということが分かる。手塩にかけて育てた娘が旅立つのは父親にとっては想像以上に辛いのであろう。また、自由恋愛からの結婚がまだスタンダードではなかった時代だからこその娘の恋愛への父親への過度な干渉(まさかあの男と関係はあるのか?という激キモセリフ)は現代人の感覚からすれば鳥肌ものであった。家族だけでなく周りの家族同士での距離も近く、友達の父親に恋愛相談をするなんてシチュエーションは今では考えられないだろう。佐田啓二が佐分利の職場に突然押し掛け「娘さんもらいます」っていうシーンはギャグなのか分からないけど声だして笑った。我らがお父さん笠智衆の独唱シーンは味わい深い、そのあとの合唱も。
ドナルド

ドナルド