ヨッシー

ハート・ロッカーのヨッシーのレビュー・感想・評価

ハート・ロッカー(2008年製作の映画)
3.7
 常に緊迫感と緊張感が持続し、よくあるドラマスティックな感じやエンタメっぽい要素(そこは勿論戦争映画という事もあるが)は少ない。この辺りはやはり女性監督らしさが出てるな、と感じた。何より戦争映画にありがちな過度なグロ映像や残酷な描写は殆ど無い。にして戦争の現実を描いている。戦争の中の日常、日常の中の戦争…ここの描き方が女性監督たる所以かと…。対テロ戦争は普通の戦争と違い、何処に潜んでいるか分からないテロリストと非戦闘員を区別する事からはじめなくてはならないし、相手方はその限りではないところに非常に戦い難さがあると思う。弱者が強者に勝つにはこの戦法に頼らざるを得ないのだろうが、それは国民に犠牲を強いる事であるが、生きるか死ぬかの戦争では理由にならないのであろう。こうゆう映画は映画をつくる歴史、風土的観点と現実の資金面からアメリカ発という事になるのでどうしてもアメリカ的プロパガンダになってしまうのは致し方ないところかと思う。しかしこの戦争映画は英雄的ヒーローが出現する訳でもなく、ラストに余韻に浸るような感動的ドラマがある訳でもなく「戦争でしょ?これが当たり前じゃない。何を期待してるの?」という現実的メッセージを全体から感じた。主人公の男性が帰国してから奥さんに爆弾処理班の必要性を訴えている所と奥さんのそれに対する反応の温度差の違いが何気なく心に残った。
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