山田洋次版アベンジャーズってくらいの素晴らしい役者さんたち。「故郷」の続編であると同時に、「幸福の黄色いハンカチ」の精神的続編と呼んでもいいのではないでしょうか。役者さんが同じっていうのもそうですが、北海道が舞台であるところと高倉健の役どころと、何よりラストシーンでの「待つ」という選択が「幸福の黄色いハンカチ」を彷彿とさせます。
もちろん「幸福の黄色いハンカチ」と「遥かなる山の呼び声」は大きく異なるところがあり、前者はロードムービーであるのに対し後者は北海道で動かず暮らしている親子に焦点が当たっています。また、今作では子供である武志(吉岡秀隆)と耕作(高倉健)の交流が大きく描かれています。耕作が武志の境遇を知り抱いた思い。耕作は口下手なのでその思いをはっきりと口にすることはありませんが、推し量るだに感慨深いですね。
高倉健と吉岡秀隆を北海道で会わせるのはちょっとズルいなあと思いつつ、しかしよくよく調べてみると今作は「北の国から」以前の作品で、山田洋次監督の慧眼に唸りますね。
吉岡秀隆さん、終盤なんか急に演技ド下手になるシーンがあるんですが、それ以外のシーンでは……ウルトラマンの真似してるシーンとか、走り去る車に石投げつけるシーンなんかが私はとくに好きですが……バツグンにいいです。
もちろん高倉健さんや倍賞千恵子さんらの演技も素晴らしい。「幸福の黄色いハンカチ」に出てきた武田鉄矢さんもチョイと出てきてファンサービスが満点。人工授精師役で渥美清さんが出てきたのは笑っちゃったけれど。
