ロートルボクサーのストーカー・トンプソンは、マネージャーが八百長を仕組んだが、それを知らされず…。
「24」みたいに、現実の時間と映画の中の時間の進行が同じ作品。派手さはないけど、監督はすごくうまいと思う。二度目で面白さが分かった。
試合会場の向かいに、ストーカーと妻が宿泊するホテルがある大きなセット?がすごくて、この立地を生かした場面もたくさんある。妻がさまよう通りも、役者とは思えないぐらいたくさんのモブがいてすごい。
選手たちで共有するロッカールームは狭いが、複数の人物を描きつつ、短いセリフなどでそれぞれの選手を際立たせ、結果まで伝えるのがうまい。
試合中も観客に特徴を持たせ、面白く見せてゆく。ボクシングシーンは本当の試合のように見える。襲撃シーンの音楽の使い方もうまかった。
主人公のロバート・ライアンは、ボクサーにしては人が良過ぎるような顔つきで、うま過ぎる。全体として、人生への挑戦や、勝ち負けとは?と考えさせ、味わいがある作品だと思う。
2019/12/22「フィルム・ノワールIII」
「蓮實重彦セレクション ハリウッド映画史講義」@シネマヴェーラ渋谷