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キング・オブ・コメディのおーつのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.5
自分はチャンスに恵まれていないだけだと思い込む自称キングオブコメディ。そんな超勘違い、自己中男が人生の逆転を狙って起こす騒動を描いたブラックコメディ。『タクシードライバー』『レイジングブル』などシリアスな作品を作り続けたスコセッシとデニーロのコンビが打って変わってコメディを作ったわけですが、相変わらず狂気に満ち溢れた作品です。笑
コメディ版『タクシードライバー』と評されていますが、この表現がもっとも的確だと思います。

コメディなので人が死んだり血が流れる描写がないのですが、
ロバートデニーロの自宅にtvショーと同様の舞台を作って一人でネタを披露し脳内で観客の爆笑を妄想したりする場面は、表面的には楽しいやつなんですが『タクシードライバー』同様完全に自分の世界で生きているやばいやつなんです。
映画は完全に彼の主観で進んでいくので、観客はどこまでが現実でどこまでが妄想なのかがわからない。

この笑顔とそこから繰り出される漫談から、笑いと同時に狂気を表現しているデニーロの演技力には驚かされました。
デニーロは体型を変えたり、イタリア語を習得したりするアプローチが有名ですが、この作品では単純に巧い演技を観る事ができます。

スコセッシ作品の中では異色かもしれませんが、
ロバートデニーロの怪演だけでも観る価値はあります。
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