狂王キシリトールヴィヒ2世

キング・オブ・コメディの狂王キシリトールヴィヒ2世のレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
5.0
この映画に笑える瞬間はない。笑えるけど笑えない。場末のママも孤独なストーカーもキングオブ狂人も希望を捨てられない。すがりつくしかないから。この世界では一番の成功者が一番の被害者でもあるという救いのなさ。誰しもが自分の居場所に幸福を感じられない狂人であるという喜劇。それでもショーを観る場面は面白いしかっこよくてなんだかデニーロのことを誇らしく感じた。こけにされた狂人のカウンター。一夜の王。切ないけどかっこいい。チャンスは自分で作るしかないということと夢は夢にすぎないという事実と世間における流行の馬鹿馬鹿しさとっていう色々が閉じ込められたあいまいなエンディングにめまいを覚える。