北大路モンロー

キング・オブ・コメディの北大路モンローのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.6
ジョーカーの予習として軽い気持ちで観るもんじゃなかった、、
大声を出すわけでなく
暴力を振るうでもなく
ただ朗らかにそこにいるだけで圧倒的な狂気、それも冒頭から!
こうも完璧に狂気を表現できるスコセッシの着眼点よ…。

前半と後半はざっくり「ポプキン以外」と「ポプキン」でチーム分けできます。互いに独立した状態で前半が進むので、「ポプキン以外」の観点をもつ私たちは尋常でないストレスと恐怖をあじわいます。説明が難しいんだけどもうほんととにかくヤバい。ポプキンみたいな人いるから余計怖い。

ところが後半からは「ポプキン」の観点で世界を観る形になるので、
なぜポプキンをヤバいやつだと思ったのか
誰が正しくて誰が間違っていたのか
突如として不明瞭になるのです。
しまった監督の思うつぼだった!と気付いても時すでに遅し。
白だと疑わなかったものが黒に変わるそのフォーカスの見事さ!
しかしラストがまた不明瞭で最高!!ここまできて最終的に悩ませるんかいスコセッシ~~好き!!
多角的に他者を見なければ凝り固まるという教訓含め、ロバートデニーロの演技力も相まってこの映画は人生ベストに入るかも。

ジョーカーの前に観ておいた方がいい作品でこれとは、予想が着きませんがジョーカーがより不穏さを増した気がして、楽しみな気持ちが溢れそうです!