ヤマウチ

キング・オブ・コメディのヤマウチのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.2
ジョーカーを見るに当たってこの映画から着想を得たという記事を見て気にはなっていたけど見ていないことを思い出して見たが、衝撃的だった。
人とは違う視点を持ち、そこを突くという笑いの核となる部分がもつ狂気と愉快さのバランス。
自分が思う自分の価値と世が決める自分の価値との乖離に納得がいかない思いから想像、妄想が多岐にわたり現実との区別がつかなくなっているロバートデニーロ演じるルパート。
エンターテイメントとは、芸事に身を投じることとは、生半可な才能や努力ではいけないんだ、とマーティンスコセッシが語っているように感じた。
客観的な観点ではストーカーの女性と全く同じ思想であるがそのことにも気づいていない純粋さがより不気味さを引き立たせいた。
タクシードライバーでもそうだけど、ロバートデニーロはそういったある一定数の人しか持ち得ない狂気じみた人を演じるのがすごく上手で今作がロバートデニーロをハリウッドで一流俳優として確立させた意味がよくわかる
アメリカン・ドリームの裏側、一握りの成功者の裏におびただしいほど存在するこぼれ落ちた人々のはかなさ、映画館で見てたらポップコーンは食べきれずに出て来ただろう。
ラストが現実であるのか妄想であるのか、映画が好きなひとたちのこの映画に対する色んな感想を聞いてみたいなあ。
ヤマウチ

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