SHIDOU

キング・オブ・コメディのSHIDOUのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.5
「ジョーカー」鑑賞後に見る。
レビューの多くに、「ジョーカー見る前にこれを見ろ」と書かれていたのがよく理解できた。色濃い影響を受けているのは明白。明らかなオマージュもあり、思い出しながらクスリとする部分もあった。

だが自分は、ジョーカーの後にこれを見て良かったと思う。

アーサーには感情移入ができた。彼はいわば社会によって狂人に「させられた」側。

だが今作のルパートは…不幸な出自はありながら、自分から狂気の淵に踏み込んで行った、なるべくして狂人に「なった」男だ。

僕にはどうしても、ルパートからピュアネスを感じることができなかった。

だからこいつには一切の同情も、感情移入もできない。意中の相手とコメディアンの別荘に乗り込む奇行、ストーカー仲間?の女との会話、そしてあの凶行…その中で現実と妄想がシームレスに入り乱れる様は、ホラーよりも数段恐怖だった。

ラストについては、才能と狂気は紙一重、という皮肉を謳ったと自分は解釈したが、今作は見る人によって様々な捉え方が可能で、僕のような見方を「間違いだ、キングオブコメディはそんな作品じゃない!」と感じる人も少なからずいるだろうと思う。

こうした作品は、やはり傑作なのだろう。
純然たる自分の評価は4.0だが、0.5をプラスした点としました。
SHIDOU

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