JTKの映画メモ

キング・オブ・コメディのJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.0
話題の「ジョーカー」の元ネタの一つと言うことで、まだ観たことないと思って観たら、既に観とったわ。そんなんばっか。
忘れることが生きること。

職種がタクシードライバーからコメディアン志望の男へ変更。
社会の底辺で足掻くイカレポンチがしまいにはヒーロー的な構造は名作「タクシードライバー」とよく似ている。
「ジョーカー」が元ネタにしたと言われているこの2本はハッピーエンドと言い切るには微妙だけども一応ハッピーエンド。
トラビスは売春少女を救って親に感謝されとるしね。

それに引き換え、哀しく暗く重く救いのない「ジョーカー」が世界中で大ヒットとな。
人それぞれ共感するところは違うと思うが、自分は、大きな声では言えないが、この映画が「社会が悪ければ、弱者に不寛容ならば、大量虐殺もやむなし」と言外に仄かしていることに深く感銘し、ラスト(病院のシーン)直前の、アーサーが悪の化身ジョーカーに成り、歪なダンスを舞い、ゴッサムシティの底辺の住民がそれを支持する歓喜のシーンに強烈な爽快さを感じた。

映画は「夢」だから、何をやってもいいし、それを心の中で密かに楽しむ分にはいいと思うが、この映画は図らずも犯罪を誘発する力を持ってしまったような気がして仕方がない。

それにしてもロバート・デニーロ。この頃も今も演者としてのポテンシャルは言わずもがなの神レベル。
その人にしか見えんし、ニューヨークに行ったら、パプキンやトラビスに会えそうな。そんな役者ざらにおらん。