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全身ハードコア GGアリンのeのレビュー・感想・評価

全身ハードコア GGアリン(1994年製作の映画)
3.9
Filmarksではドイツや戦争映画関連を中心にレビューしてますが、実はパンクなどの音楽も大好きで、自分でもうだつの上がらないパンクバンドをやっていたりします。これはアメリカの破滅的なパンクス、GGアリンのドキュメンタリー映像になります。「全身ハードコア」なんて微妙な邦題がつけられていますが、原題は「HATED」。簡単な説明をすると、GGアリンはパンク・ボーカリストで、パンクバンドMURDER JUNKIESやソロとして歌っていましたが、1993年にドラッグが原因で亡くなっています。

GGアリンを初めて知ったのは、それはそれは大昔の音楽雑誌で、GGマニアで有名な某氏が書いた文章を読んで。「脱糞してそれを喰いまくって客席にダイヴィングして大暴れ」とか「日本では成田のブラック・リストにGGは入ってるので税関の役人はGGを知っている」とか、そんなのいたいけな少年が読んだ日にゃー興味を持つわけです。しかし当時、日本では入手困難とされたGGアリン関連の映像を何の情報も無い田舎暮らしの少年が入手できるわけも無く。ところが、初めてGGアリンの映像を見たのはなんとテレビの地上派!当時放送していたアサヤンという番組の「ナインティナインの史上最悪のバンド計画」という企画で、ナイナイの二人が史上最悪のバンドを結成するために色々学んでいくというコーナーがあって、山塚EYEとか町田康なんかが出てて結構凄い番組だったんだけど、その中でナイナイが西新宿のレコード屋で最悪のバンドのビデオを色々見に行って、そこでレコード屋の人がGGアリンのライブ映像を流していました。モザイク入りではありましたが、なんと地上波でGGの脱糞シーンが流れました・笑。その時はGGアリンという言葉は全く出てこなかったので、テレビ見ていた普通のひとはなんていうバンドか全くわからなかったと思いますが。

しかし今や、インターネットとDVDの普及でGGアリンの映像は簡単に通販できるし、それどころかyoutubeにたくさんアップされているので、当時心躍らせた映像たちをたくさん見ることが出来るのです。でもこのDVDは、初の日本語字幕付きということで、英語力がなくこれまでyoutubeでライブ映像を見ることしかしてこなかった人にはありがたい作品です。

中身は生前のGG本人とその周辺の人へのインタビューをしながら、合間にライブ映像や面白いエピソードを挟むというドキュメンタリーの王道な作りですが、さすがに面白い。他の人間が言うとウソくさくなるかもしれないGGの主義主張も本人の口から聞くと全て本気に感じられます。GGの学生時代の友人という連中が凄くロクでもなかった・笑。GGアリンという人物の在り方を改めて知れたのも面白いし、そしてやっぱりめちゃくちゃかっこいいパンクロックをやっていたのだなと改めて思いました。GGというと、ステージで全裸になってウンコするとか客と乱闘になるとか、そういう下手するとサブカルっぽい部分にだけ焦点あてられがちだけど、音楽が凄くかっこい。パンクロックもそうだし、GGが歌うカントリーも渋かった(歌詞も凄い)。ライブ映像もウンコしようが客を殴ってようが殴られてようが、ちゃんと演奏してるし歌ってるんですよね。「俺は音楽をやってなかったら大量殺人鬼になっていたかもしれない」。漫画の「DMC」に出てくるギャグそのままのセリフですが、GGがいうと本気に聞こえるし、それだけGGは音楽を大切にしていたってことではないでしょうか。



オレにとってのBOOWYがクランプスで、尾崎豊がGGアリンだ!バーカ!ダサい歌謡ロック聴いてたヤツ、みんな死んじまえ!----中原昌也(ミュージシャン/作家)
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