鰹よろし

レック3 ジェネシスの鰹よろしのレビュー・感想・評価

レック3 ジェネシス(2012年製作の映画)
3.5
 日本で言うかks…失礼、JASRACに当たる人間が描かれている。結婚披露宴に覆面で使用曲の調査に来たのだとか。何とも抜け目ない。彼は結婚披露宴という浮かれた空気を地獄へと叩き落したゾンビを余所に我々を現実に引きずり戻す。

 それに対しスポンジ・ジョン。子どもたちを喜ばせようと著作権に苦しむ男である。結婚披露宴においては何とも愛くるしい存在だが、衣装の下が裸だと抜かし地獄と化した式場においても自らの衣装を頑なに主張する。その姿はゾンビを差し置いて浮世離れしている。

 搾取する者と搾取される者(…正確には搾取されまいとする者か)との正反対の存在が同じ様な風貌で花婿側と花嫁側にそれぞれ配置され、さほど活躍もせず死んでいく。これは偶然ではなかろう。

 この2人の男の対立にこの3作目の気概を見る。共通する世界観ではあるが、今までとは別の場所における別の物語であると。そして何よりもPOVの脱却である。「REC」だけど「REC」じゃないという開き直り。「REC」というシリーズに縛られず、鑑賞者の「REC」という勝手なイメージをぶち壊そうとするこの吹っ切れ様は見事である。
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