KRN

ルワンダの涙のKRNのレビュー・感想・評価

ルワンダの涙(2005年製作の映画)
-
ルワンダの大虐殺を白人の視点から描いた作品。ルワンダで教会と学校を営む白人神父と青年海外協力隊の白人青年を通して、大虐殺という歴史の直接的な被害者でも加害者でもない「私たち」の責任を問う映画です。絶対に観るべき作品だけど、刺される覚悟を持って鑑賞してほしい。

思春期に映画館で観てあまりの悲惨さに衝撃を受け、この衝撃を忘れてはいけないという思いで円盤を購入しました。
この作品は現地ルワンダで製作され、スタッフやエキストラには実際に虐殺を生き残った被害者の方たちが参加しています。パンフレットにはどうやって生き残ったかも書いてありました。折り重なって倒れて亡くなった家族の下で息を殺して生き延びた子どももいたと記憶しています。彼らの体験したエピソードも映画に活かされているのでしょう。
歴史を伝えるという意味でも、そして一本の映画としてとても優れた作品です。



特に印象的な場面が二つ。

一つ目は原題『Shooting dogs』に掛かるシーン。国連平和維持軍が、死体を食いに来た野犬を「不衛生だから」という理由で撃ち殺す。だけど彼らは、ツチ族の人たちを今にも虐殺しようと教会の周りでナタや銃を構えるフツ族に対して何もしない。


二つ目は白人テレビクルーの女性が話すシーン。「ソマリアでは白人女性の遺体を母と重ねて涙が出た。ここではアフリカ人が死んでいるとしか感じない」そういう自分を恥じているようではあるけど、それが多くの白人の本音なんだろうと感じた(そして私たちアジア人もきっとそうなのでしょう)。ルワンダの虐殺は国際社会がその事実を認識しながら長らく放置したことで悪化したものだけど、それも結局こういうことなのだろうと思います。


ほんの20数年前の出来事です。世界は、私たちは、この頃より少しはマシになっているでしょうか。無関心でいることも罪なんだとこの作品を鑑賞する度に気付かされます。私たちが考え続けなくてはいけないことを教えてくれる作品です。
KRN

KRN