しゅ

ルワンダの涙のしゅのレビュー・感想・評価

ルワンダの涙(2005年製作の映画)
4.0
『ホテル・ルワンダ』に続きルワンダシリーズ2作め。重い。ルワンダを取り巻いた狂気と、それに対して何もできない人々の歯がゆさがひしひしと伝わってくる作品だった。

この作品は現地で暮らす白人の目線から描かれている。我々日本人からしても、彼ら(特にジョー)には自分を重ねやすいように思う。フツ族民兵による虐殺を傍観する事しかできない国連軍、そんな中で自分にできることを模索して行動しても無力さを実感させられる。そして結局は、縁もゆかりもない土地で、本来殺されなくてもいいのに殺されるくらいなら…とジョーと同じ行動を取ることだろう。単にマリーが言うように、「逃げた」という簡単な言葉で表すことができないから観てるこっちもやるせなさが凄まじい。

また、作中登場するBBCの女性記者が言い放ったセリフがとにかく深く刺さる。こんな酷い事実があったと文章で知り、映像で観ても、遠い国でちょっと昔にあったことだ、という考えは変わらない。きっと自分があの場にいても、彼女と同じように感じてしまったのではないかと思う。

とにかくこの作品を通して、原題の「Shooting Dogs」は直接介入できない国連軍の無力さ、そして国際社会の無関心を端的に表現している言葉であったように思う。「涙」程度で適当に片付けた奴マジで許さねえからな。

『ホテル・ルワンダ』と比べればエンタメ性はない。が、虐殺の狂気、善意を持つ人々の無力さ、国際社会の無関心など、あの虐殺について表現すべきものが全て詰め込まれていたように思えた素晴らしい作品だった。
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