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ヘヴンのhtrのネタバレレビュー・内容・結末

ヘヴン(2002年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

美しかった。が、重すぎる&現実離れしすぎている感じがしてイマイチ乗り切れなかった。その日の気分もあるかもしれない。
フィリッパの犯した罪が怖くなってしまったりもした。

フィリッパとフィリッポ。同じ誕生日で、名前も似ている二人は、世代も性別も違うのに、どんどん似た姿になっていった。白いTシャツにデニム、そして坊主。木の下で結ばれて、そのカットはシルエットだけで映される。まるでひとつになったかのように。
見ている最中は、一人で見たわけではないせいか、理屈っぽく考えてしまった。なぜそんな場所で?とか、友達に迷惑がかかるのになぜわざわざ泊まるの?とか。そんな見方ではなくて、もっと感覚的に、視覚的に観るべき映画だったように思う。そのせいで理解しきれていない(というより感じきれていないというべきか)部分がたくさんある気がする。

フィリッパとフィリッポの罪は、憲兵が起こさせたものだろう。正直、初めはなぜフィリッポの父が一言も叱責の言葉をかけないのか疑問だった。フィリッパを受け入れているようにさえ見えた。いくら自分の息子がその人を愛していようと、息子の人生をぶち壊したような犯罪者と握手ができるか?疑問だった。しかしこれは誰かの感想で見かけて納得したのだが、フィリッポの父ももともと憲兵の人間だったのだから、おそらく憲兵の腐った状態を知っていたのだろう。そしてフィリッポの正義感や愛の強さも知っていた。救えないことに無力感を感じながらも、息子の犯した罪を、彼が愛した犯罪者ごと、彼らしい行動として受け入れたのだろう。

DVDについてた未公開シーンたちがすごく好きで、ちょっと残念に感じた。監督の言うように、構成の問題上仕方ないのはわかるが、好きなシーンがたくさんあった。メイキングも面白かった。

重くてすぐ見返したいとは正直思えないが、またいつか見返したい映画だった。監督コメンタリー付きで本編を観るのもいつかできたらいい。
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