りょうた

人情紙風船のりょうたのレビュー・感想・評価

人情紙風船(1937年製作の映画)
4.2
豊後又十郎は町の長屋の一室で妻のお滝と共に暮らしている。ある日、父が仕えていたという毛利と偶然出会い、父からの手紙を渡そうとするも、断られてしまう。毛利に話を聞いてもらおうとするも、煙たがられ、挙げ句の果ては暴力まで振るわれる。

裕福ではないが、町の長屋には人情が溢れている。しかし、一度町に出てみると非情な仕打ちを受ける。父が出世に一役買った毛利は、父の手紙さえ受け取ろうとしないし、白子屋の店主らは、薬屋の若い者たちを連れ込んで暴力を振る。新三郎はその非情な世界に抵抗を見せる。その一件に関与したからと、又十郎の悪い噂が広がり、お滝の耳にも入る。そして、結末へ。
情と非情が描かれるが、その世界で生きる人間がいかに儚い存在かを痛感されられる。誰も見ない側溝をゆっくりと流れてしまうように、人間の一生は儚いが美しい。
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