ルードヴィッヒの悲哀に満ちた生涯を描いているけれども、それを劇的で大げさな抑揚をつけて描いているわけではない。
エンタメ的な演出をしているわけではないので、面白かったかどうかという評価は無意味だと思う。
ルードヴィッヒが全編通して美しつもはやそれだけで画面が持つ。
DUNEのシャラメみたいな感想だけど、こちらのほうがこのみかも。
ルードヴィッヒが、ヴェニスに死すのアッシェンバッハ、家族の肖像のコンラッド同様、それぞれの葛藤のなかで命を落としていく。
凶気かなと思ったけどそうでもなくて孤独や満たされない心が原因。
専制国家から国民国家へと移り変わる中で翻弄されつつも、個人としてはひたすら美を愛でていたい。
あとは届かなかったエリーザベトへの思い。
もしこれが届いたならなにか変わったのだろうか。
美術服飾に関してはもう言葉もなくひたすら圧倒的。
服飾はドレスに関してはガリアーノ時代のDIORかという華美。
ミリタリーはチロリアンなディテールが多くて面白かった。