おてつ

映画に愛をこめて アメリカの夜のおてつのレビュー・感想・評価

4.9
 映画製作の内幕を描いたトリュフォーの傑作。よどみなく進む映画撮影とは対照的に縺れる私生活、現実は映画と同等…いや映画よりも奇なり。難儀だが映画にかける思いは一様な登場人物たちと共に1つの作品を作り上げるような多幸感。“映画について、の映画、否、愛について、の映画”
 映画という虚構に囚われた映画人たち、すなわちありもしないことを恰も本物のように映すことに情熱を燃やす人びとを描いている。『アメリカの夜』とは、昼間に撮影した場面を夜間の場面のように見せる映画技法らしく、タイトルがそれを物語っている。
 “アメリカの夜”を使い、自動車の事故を撮るシーンが印象的だが、なによりも冒頭の大人数のエキストラシーンが大好き。エキストラ1人ひとりの細かな動きを指示して、矯正させる圧巻の場面。これも偽りを本物のようにみせるシーン。とにかく見入る。
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