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ザ・ロードのhorryのレビュー・感想・評価

ザ・ロード(2009年製作の映画)
4.0
河野真太郎『戦う姫、働く少女』読書会用。

なんともしんどい作品だった。
弱肉強食が文字通りに行われる世界。人が人を騙し、喰らう。
地獄のような場所で、生きることを選んだ父と、そのような世界で子どもを産んだことに絶望する母。どちらも理解できる。

弱い者が殺され食われ、強い者だけが生き延びる世界は、私たちが生きる現在の社会の縮図だ。
「善き者」であることや心の炎を大切に運ぶことと、生が矛盾する世界。
父が息子に見せた他者への酷い仕打ちは、生きる延びるために必要なことだったのだろう。
けれど、息子は疑いながらも「善き者」に自分を賭けることを選んだ。
血縁はない家族が彼を迎え入れたことが(そこに犬さえいたことが)、唯一の希望だった。
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