完全自己満足でお送りする不定期企画『レビュー0件映画を鑑賞してみた』
これはFilmarks内で未だレビュー投稿のない作品をあえて鑑賞し、レビューを書いてみようじゃないかという、無謀かつ誰得な企画です。
とりあえずのルールとして、Markされていても、レビュー欄が空欄だったり、あったとしても「記録」や「過去鑑賞」のような、レビューとは言い難い内容の書き込みもレビュー無しとみなします。
さて、今回鑑賞した作品は……
『この愛の行方』 LDで鑑賞。
1989年 アメリカ 社会派ドラマ 先客12名様
結婚10年目を迎えた仲睦まじいリンダとマイケルのスペクター夫婦。二人の唯一の悩みは子供ができないことだった。
二人は養子縁組を決意し、ルーシーという少女の子供を引き取ることにする。
ルーシーはまだ17歳で、恋人でミュージシャン志望の青年サムの子供を身ごもっていたが、将来に不安を抱えており、出産した後の我が子をスペクター夫婦に引き取ってもらう方が、自分たちにとっても、子供にとっても良いと考えたのだ。
そしてルーシーは無事に赤ん坊を出産。ところが我が子を抱いて母性が芽生えたルーシーは、赤ん坊の引き渡しを拒否するのだった。
『告発の行方』などで知られるジョナサン・カプラン監督が、里親問題に真っ向から挑んだ社会派ヒューマンドラマ。
子供が欲しい夫婦と、子供はいらなかったカップルのそれぞれの悩みと葛藤。親となる責任と覚悟。他人が産んだ子を本当の我が子として愛せるか、そして何より、子供にとっての幸せとは……と、様々なテーマが盛り込まれている深い作品。
スペクター夫妻を演じるのはグレン・クローズとジェームズ・ウッズはさすがの安定感。
ルーシーの恋人サムはいわゆるチャラ男系。初対面からすでに馴れ馴れしい。まあ、悪い奴じゃないんだけれど。因みに演じているのはマット・ディロンの弟のケヴィン・ディロン。
所々コミカルなシーンもあるけれど(テーマがテーマなだけに、重くなりすぎないようにとの配慮かもしれない)、あくまでそれぞれの問題を抱えた二組のカップルのリアルを、大げさな演出に頼らずに真摯に描いている。
この出会いが縁で、友情に近い絆を深めていくリンダとルーシーの関係も注目ポイント。
果たしてそれぞれのカップルが下した決断とは……?
いろいろと考えさせられる良い映画だった。
本作のテーマとはちょっとずれてしまうけれど、生まれたばかりの赤ん坊がトイレに遺棄されていたというニュースをたまに目にするたびに胸が痛む。産まれてくる新しい命に何ら罪はないのに。