垂直落下式サミング

ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.5
「気張りすぎて、クソ漏らすなよ…」(渋声)

シリーズを象徴する名言。最高のオトコ西!これほどまでに赤を着こなす人物がいるだろうか?前歯の折れた柴田との赤白コンビが、本作でも大暴れ。
相棒のヒロシが傷害事件でパクられて以来、自暴自棄に陥っているトオル。ケンカに明け暮れていた彼の前に、北高維新軍団が現れる。彼らは、他校の下級生までをも抱き込み、番長を下して世代交代を目論んでいた。下っぱ連合の策謀により、トオルと長い付き合いの北高総番長・前川新吾との頂上決戦が始まる。
番長はつらいよ。出し先のない拳だとしても、出さなきゃなんないときがある。子分たちの暴走によって引き起こされる報復の連鎖で、あちらもこちらも引っ込みがつかなくなって、ついに大将が出張らなければならなくなってしまう。
何で俺らが詫びいれにゃあならんのですか!?こんなやつらごときに舐められちゃあ俺らだっておさまらんですよ!?ここへ来て、深作イズムを出すのにてらいがなくなってきた。
仁義なき戦いはもちろんのこと、アクションシーンではプロジェクトAなどのオマージュがてんこもり。血気盛んな追走劇。ロケ地がそうとう好意的にバックアップしなけりゃあ、あんな派手な撮影無理だよなぁ。いい時代だなあ。
今回は、主役のひとりであるヒロシ役の清水宏次朗さんが不参加。降板の理由は、清水個人のコンサートツアーと映画の撮影スケジュールがバッティングしてしまったためとのこと。作中での折り合いの付け方は、ヒロシは傷害事件を起こして所轄の警察署に留置中という設定となっている。
これまで五作続いてきて、最強コンビの片割れ不在という、本来ならあり得ない事態。ストーリー的にパワーダウンするしかないと思われたが、以前敵として登場した柴田・西コンビが途中から味方に加わる!
柴田&西の2人がしっかりと主役以上の穴をうめをしており、愛徳の助っ人として北高の連中を柴田と西がボコボコと倒していく。握りこぶしの力みが増すような胸熱展開っ!
本作は、過去最高にリンチが陰湿で、タイマンする事の価値が薄い。バカ正直な一対一をするやつは一部の気合いの入った主人公組だけで、北高の連中は複数人で袋にするとか、凶器攻撃だとか、弱ったところを襲うとか、拳の使い道が卑怯きわまりなくてとてもいい。
北高維新軍団をまとめる工藤という男は、ラフプレー上等の外道。かなり姑息かつ非道な性格をしており、悪党という意味では過去最悪のキャラクター。ドシンとしたコワモテな憎ったらしさで、観客のヘイトを一手に引き受ける。もう少し、しっかりと報いを受けるべき人物だと思うが、情けなく落ちていったし、まあいいか。
不良たちの血で血を洗う報復の嵐吹き荒れるシリアスなムードに突入していくが、気合いの入った女子たちのパンチラや、キクリンが力ずくで縄脱けしようとしてやっぱムリってなるシーン、みんな酒瓶を割って凶器にするのにのぶおだけ何度やっても割れないところなど、ユーモラスさを忘れていないのがいい。
相変わらず純子役の宮崎萬純にドキドキ。他の女子たちのアイドル演技とは一線を画する。「どうしたのミノルちゃん。キクリンは一緒じゃないの?」みたいに話しかけてくるところが色っぽすぎて、撃ち抜かれちゃった。去っていくミノルちゃんを見つめる表情や、坊主にしたキクリンに「私はけっこうカッコいいと思うけどな。」ってすべすべを触りながらフォローしてくれるところなど、姉御肌を通り越して母性を感じる。