あかねこ

それでもボクはやってないのあかねこのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
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高3の社会系の授業のときに一度観たことがあるけれど、再度観た。
当時は「冤罪」の存在、無茶苦茶な取り調べ、理不尽な裁判官、自分だったらどうするかなどを表面的に考えていたと思う。それに加瀬亮とか役所広司とかの名演技を全然見ていなかった。(そもそも自主制作の地味なドキュメンタリー映画だと思っていました)

高校生ながらに、この作品を通して真実は正義とは違うところにあるということをなんとなく感じていたが、もう一度観てみた。
当時と変わらなかったところは2つあり、一つは私も被告側ならばあの状況では認めないし、(家族への不利益を無視できるなら)控訴すると思うということ。
もう一つは、被害者だった場合私は声を上げないだろうということ。電車で通学・通勤を15年くらい続けていて満員電車で嫌な思いをしたことがないわけではないけれど、故意かどうかというのは客観的にはわからないからだ。それはやっぱり高3の私も今の私も、同じことを考えている。
当時の先生は特に何を言うでもなかったし、私の感じたことは正でも誤でもなく「それはそれ」なのだが。

そして、今回観て改めて残ったことは「自分が自分は無実だと知っていても、裁判で無罪になるというわけではない」。15歳の被害者も、大人になって真実はこの世のどこにもないことを知るときが来たら声を上げたことを後悔するだろう。取り調べしたの警察はさておき、裁判官の心情…。そうか、この作品では登場人物の誰ひとり幸せになっていないんだなあ。

やはり厳しかった母校の教えは理にかなう。
「自分の身はできるだけ自分で守れ」
制服スカートを短くするということは、隙を与えているともいえる。
無意識でも、社会というフィールドに誤解の因子を蒔いた時点ですでに負けているのだと。
あかねこ

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