もとまち

イヤー・オブ・ザ・ドラゴンのもとまちのレビュー・感想・評価

3.4
クズ刑事を描こうとする割には演出が情感的過ぎてイマイチ乗れない。ミッキー・ロークの破滅的な行動のせいで周囲がどんどん不幸になる話なのに、どうして彼に寄り添うような描き方をするのか。クズはクズなりにある程度突き放した視点で描くべきだろう。ジョン・ローンを殺しただけで事態は大して解決せず、浮気相手の中国人キャスターとハッピーエンドを迎えるラストも「?」である。ただただ奥さんが報われないなぁ、と。刑事の人間ドラマ、チャイナタウン闇社会の背景、中国とアメリカの確執などなど、やたらとテーマが詰め込まれた脚本も焦点がぼやけていて散漫な印象が残った。ハードな銃撃戦と苛烈な暴力描写は大量に盛り込まれているし、チャイナタウンの豪勢なセットを流麗に動き回るカメラワークも画的に贅沢で映画としては面白いのだが、似たようなタイプでこれより出来の良い作品は同時代にもっとある。
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