ツクヨミ

散り行く花のツクヨミのレビュー・感想・評価

散り行く花(1919年製作の映画)
4.0
またこの監督"不寛容(イントレランス)"撮ってるよ。
ルーシーはボクサーの父親と二人暮らしで貧しい生活を送っていたが、彼女は父親の振るう暴力に悩んでいた…
D・W・グリフィス監督作品恋愛ドラマ。今作を見て感じたことは、やはり人間の不寛容と愛の対比に他ならないだろう。グリフィス監督が"イントレランス"で扱ったテーマと一緒ではあるが、今作はシンプルに一つのシチュエーションで描かれておりわかりやすく、もはや"イントレランス"入門編とも言えるかもしれない。今回は家庭内で暴力を振るう父親と恐怖する娘ルーシー(ドメスティックバイオレンス)の無慈悲な関係性、中国人青年チェンとルーシーの慈愛溢れる関係性を見せていく。
また今作はサイレント作品であり"イントレランス"でも感じたことだが、話しの演技ができない分役者の表情演技を際立たせている見せ方が多かった。今作では終盤のドメスティックバイオレンス劇で戦慄な表情の父親と恐怖する娘を対比的にクローズアップの技法で描き、特に娘のルーシー役リリアンギッシュの表情芝居は素晴らしい。そしてモノクロ映画ではあるがグリフィス監督はセピア調の暖色と青っぽい寒色の2色を使い分けて話を展開させる…場面によっては灯りの表現で2色を使い分けていて面白い。
グリフィス監督が描くシンプルな悲恋の物語。90分で非常に見やすいのもポイント。
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