Grace

ローラーとバイオリンのGraceのレビュー・感想・評価

ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)
4.0
大学在学中で28歳のアンドレイ・タルコフスキーが、大学の卒業制作で作った約45分の映画。アンドレイ・タルコフスキーが監督した他の作品と比べて、この作品は上映時間が短く分かりやすい作品でした。

近所の男の子達にいじめられ音楽教室へバイオリンを習いに行っている少年サーシャが、赤いローラーに乗って道路の舗装工事をしている労働者の青年セルゲイと出会い、心の交流・友情を描いた作品。
階級と年齢が異なるサーシャとセルゲイの純粋な心が通じ合える友情が素敵。この2人を見ていると、階級や年齢関係なく仲良く付き合える友達って素晴らしい。
ショーウィンドウの鏡に反射して、建物やバスやリンゴや風船等が複数に見える映像技法が綺麗で美しい。ショーウィンドウの鏡に反射している物を見ている少年サーシャの表情が可愛い。バイオリンが思ったように上手に弾けず、先生に叱られてしまうサーシャとメトロノームの音が合わさっているのも印象的でした。あと、雨降りのシーンも印象に残りました。雨が降ってきたことで、サーシャとセルゲイの絆が強くなり仲良くなっていく。雨上がりの水たまりに光が射し、空が映ったりする映像も綺麗。

映像と演出とカメラワークとストーリーがとても良く出来ていて、出演者の顔の表情等の演技も良く、大学の卒業制作で作られたとは思えない素晴らしい作品でした。この頃からアンドレイ・タルコフスキーは素晴らしい映画監督の才能があり、『惑星ソラリス』や『ノスタルジア』等の名作を作り上げた凄い映画監督だと感心しました。
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