櫻イミト

アパッチ砦の櫻イミトのレビュー・感想・評価

アパッチ砦(1948年製作の映画)
3.5
フォード監督『騎兵隊三部作』の第一作。インディアン戦争で自軍を全滅させたカスター中佐をモデルに映画化。ヘンリー・フォンダ、ジョン・ウェイン、シャーリー・テンプル(当時20歳)が共演。

南北戦争で失策したサースデイ将軍(フォンダ)は中佐に階級を下げられ左遷、辺境のアパッチ砦に娘のフィラデルフィア(テンプル)を連れて赴任した。 現場には古参のヨーク大尉(ウェイン)がいたが、サースデイは現場の実情を無視し軍規至上主義を振りかざす。。。

モニュメント・ヴァレーのロケーションがふんだんに使われている。前半の展開は少々もたつくが、豪華スター共演に興味をそそられて楽しめた。劇伴に”黄色いリボン”が複数回かかる。

モデルとなったカスター中佐はその評価が賛否に分かれているが、本作ではオブラートに包みながら否定的に描いている。伴ってインディアン部族の姿勢は中立的に表現されている。

司令官の無謀な作戦によって、軍隊が壊滅していくという筋書きは東映やくざ映画に継承されているので既視感があった。本作当時のフォード監督はアップの省略を積極的に行っているが、その為に、クライマックスの戦闘シーンに物足りなさを感じた。

※当時結婚したばかりのテンプルと夫ジョン・エイガーが恋人同士の役で共演している。「軍使」(1937)でテンプルと組んで可愛がっていたフォード監督は、撮影を通してエイガ―を”ミスター・テンプル”と呼びイジメ続けたとのこと。

※「アパッチ砦」(1948)についてのフォード監督へのインタビュー
Q、部下が指揮官のヘンリーに・フォンダに、明らかにその命令が間違ったものであるのに、従って行動し戦死する目に遭ったことを、正しいと信じておられますか?
「そうだ。彼は指揮をとる大佐であり、彼がどう命令しようが、部下はそれに従わねばならん。内心、異論があろうがなかろうが。」
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