アパッチ砦の作品情報・感想・評価・動画配信

「アパッチ砦」に投稿された感想・評価

武功を焦って、隊を全滅させた指揮官は、評価されるべきでないと思う。
ド傑作。戦時下の上官vs部下の対立モノ。上官役のヘンリー・フォンダがまぢで堅物で嫌なやつとして描写されており、ここまでヘンリー・フォンダの使い方が適切な映画を見たことがない。『ウエスタン』以上だ。

オープニング近く、酒場できったねぇじじぃが痰壺に痰を猛烈な勢いで吐き出す⇒揺れる痰壷のカットが異常に好き。ここ、フォードらしいな、と思う。
逆にシャーリー・テンプルが、隣に座る父親にバレないように鏡を使って若いイケメン将校の乗馬姿を見つめるカットなどはあまり鏡を使わないフォードにしては意外なカットだと思った。でも、すげー好き。
シャーリー・テンプルの寝間着姿がえらい可愛かったー。
無惨な敗北をあっさり描くのが素晴らしい。『リバティ・バランスを射った男』然り、史実を指摘しながらも神話を否定しない(二つを架橋するジョン・ウェイン!)スタンスに痺れる。リー・マーヴィンがインディアン役なのウケる(と思ったら別人だったごめん)
Kuuta

Kuutaの感想・評価

4.3
「見えるのは旗だけ」

このセリフの通り、文字情報ではなく、運動の中にこそ真実が刻まれる。それが映画らしさだし、その表現を極めまくった監督がフォードだ。今作も、アクションの美しさを存分に堪能できる。

辺境の地、アパッチ砦の指揮官に左遷されたサーズディ中佐(ヘンリー・フォンダ)。規律に厳しく、先住民を敵としか見なさない彼のやり口に、ヨーク大尉(ジョン・ウェイン)らは不満を感じつつも従うが…。

フロンティアの最前線で「家」を築こうとするアメリカの奮闘。砦の日常描写が丁寧だ。

オープニング、サーズディとその娘フィラデルフィア(シャーリー・テンプル)が砦にやって来る。ワイドな荒野の撮影と、小さな馬車の対比の美しさ。続いて、砦に入れば、厳しい自然の中で人が「家」を維持しようとする、生活の活気が溢れている。

この「運動」を上から制しようと、サーズディは服装の乱れなどを厳しく取り締まる。一方で、フィラデルフィアは隊員の妻たちと仲良くなり、「アメリカの家」を築いていく。

補充兵の指導に当たる下士官のパートも、コメディ的で楽しいが、「家」が形成される過程を捉えている。馬に乗れず落っこちる者、引きずられる者。叱られて投げ飛ばされる者。全ては「家」を確立するためのアクションだ。彼らは「歌」を覚えることで、無形の家族の連帯を獲得する。

繰り返される酒や水のシェア。壺へ痰を飛ばす西部の男たち。下士官の息子、ミッキーはフィラデルフィアとの恋を禁じられるが、2人は夜の玄関ポーチ(家と外の境界)でキスをする。

スピルバーグは、フォードが「儀式」を描く監督だと指摘している。今作でも、軍の規定に基づき、サーズディと下士官の妻がパーティーで踊り、下士官とフィラデルフィアも踊る。続いてみんなで腕を組んで踊り、ペアを交代する。

一見無意味にも思える儀式を経て、連帯が生まれていく。最初に2組だけを長回しで撮っているところに、他のペアも入ってきて画面内が躍りだらけになる、という流れの多幸感が素晴らしかった。

メキシコ系?の隊員とヨーク大尉が先住民に交渉しに行くシーン。2人は水を分け合い、飲み干した瓶を谷底へぶん投げる。ヨーク大尉は、異人種との友情をきっちりと結んでいることが分かる。

一方、サーズディは「家」の椅子に座ろうとするが、壊れていて後ろにひっくり返る。乱れた心を表すようにタバコ吸う。本来、彼は上記してきた「運動」を加速させる事で、部隊の結束を強めるべきだったが、むしろ形式的な軍の規律を守らせる方向に進んでしまう。

安定の馬上アクションの魅力は割愛するが…。目についたのが、荒野の戦いに「白いもの=家」を取り込む撮影。フィラデルフィアは落っこちそうになる帽子を必死で抑える。荷馬車の屋根の布が剥がれ、旗のようになびく。

終盤は、先住民との交渉から戦いへ。ここで重要になるのが上下の構図だ。

序盤、久しぶりに両親に会ったミッキーは「身長が変わらなくなった」と横に並んで喜ぶ。次の日、ミッキーはフィラデルフィアを見上げる構図で会話を始めるが、最後は横並びになって仲を深める。

こうした伏線が生きてくる。サーズディは、椅子に座り、下手に出て交渉を始めるが、激昂して思わず立ち上がってしまう。先住民を見下ろして怒鳴り散らし、交渉は決裂する。「椅子に座れない男」が「目線を同じに保つこと」が出来ない。

戦いで有利に立つ先住民はサーズディの部隊に崖上から攻撃を仕掛ける。ラストの展開は書かないが、土煙の中、最後に残されたものが全てを物語る。

締めくくり方も秀逸。指揮官の「名誉の戦い」は新聞記事となるが…。ここで、この西部劇の語り手をウェインが担う、という設定が上手い。「先住民と戦ったアメリカ軍人の神格化」という西部劇のクリシェを、ウェイン自身が皮肉る構図。

馬と人間のアクションを、フィルター越しに見極める目線だけが、クリシェをひっくり返した先にある、アメリカの真実を掴み取る。ミッキーの姿を鏡越しに覗く序盤のフィラデルフィアであり、双眼鏡や窓越しに部隊を見つめるウェインであり。ラストショットでその役割は、観客へ投げ渡される。

劇中に1人だけ、明らかな悪人が登場するのだけど、その人物の行動は「私欲のために西部に入植したアメリカの罪」そのものだ。すごくフラットな視点の置き方だと感じた。85点。
じん

じんの感想・評価

3.2
すごい映画だった。
簡単に感想が書けない( •ө• )
もっと歴史を知らなければ( •ө• )。
疾走する馬により土煙が立ち、煙が捌けると騎馬隊が画面上から姿を消している、これぞマジック
これほどまでに落馬シーンを収めた映画も多くはなかろう、どれくらいのスタントマンが出演しているのだろうか、心意気が素晴らしい
ヘンリーフォンダが最後まで不器用な感じだったのとか、ジョンウェインが我が道を真っ直ぐ貫き通したのとか、まあ展開がアツイ
個人的にはフィラデルフィアのためにオローク夫人を呼ぶ場面、呼びかけが外へ外へと連鎖していく場面が好きだった
滝和也

滝和也の感想・評価

3.9
荒野を疾駆する騎兵、
砂塵渦巻く荒野は
どこまでも続く。
それを見守るは観衆と
そびえ立つ
モニュメントバレーのみ

名匠ジョン・フォード
騎兵隊三部作

「アパッチ砦」

西部開拓時代における先住民アパッチ族に対する米軍騎兵隊アパッチ砦を詩情豊かに描いた名匠ジョン・フォード監督作品。騎兵隊三部作と後に名付けられる、その第一作目。

物語は新任の司令官サースディ中佐(ヘンリー・フォンダ)が娘フィラデルフィア(シャーリー・テンプル)と辺境の地アパッチ砦へと赴任する所から始まる。その地には古兵ヨーク大尉(ジョン・ウェイン)を始め荒くれ者ではあるが、気持ちの良い兵士達が待っていた。左遷させられたと焦る中佐は彼らと衝突を繰り返す。だが…アパッチ族の驚異は迫っていた…。

この作品を語る上で注目すべきは、やはり圧倒的なダイナミズムだろう。冒頭書いたモニュメントバレーを背景に砂塵舞う荒野を駆ける騎兵を超望遠で捉えたショットの数々。

そして圧倒的な疾走感とダイナミックなスタントで魅せる先住民との戦い。見事なカット割がその迫力を更に増していて、巨匠黒澤明が敬愛してやまないとする流石名匠ジョン・フォード。

そしてその豪胆なダイナミズムに対して、組み込まれた砦の生活を詩情豊かに伝えるストーリー性。中佐と大尉たちがぶつかるシーンはあるものの、新任の将校と娘フィラデルフィアとの恋愛や砦内の儀式であるダンス、気の良い兵隊達の悲喜こもごもを描いた部分がメインを占める。

故にこのストーリーがカスター将軍率いた第七騎兵隊の悲劇を元に描かれたと言う事実として、ラストの悲しみを一層深く伝えてくる…。(シーンとしてはさり気ないが)頑迷すぎた指揮官による悲劇を誇りと尊厳を守るための戦いとしたヨーク大尉の言葉は指揮官だけでなく、命を散らした兵士達の尊厳を守っている…。

古兵であるヨーク大尉演じるジョン・ウェインはやはり馬上の人。その姿はやはり比類なきカッコ良さ(^^) 経験に裏付けられた強さと情を持つ指揮官ですからね(^^) 谷にウィスキーの瓶を投げるシーンや後方に回される際に、すれ違う部隊へ走る馬上でハットをかざすシーンの後ろ姿のカッコ良さは流石です。

演技を問われる嫌な役でもある司令官にヘンリー・フォンダ。上手さが必要なポジですからね。嫌味過ぎず、頑迷な役を見事演じてます(^^) 規律にうるさい司令官の奔りです(^^) 

やっぱり西部劇と言ったら、モニュメントバレーにインディアン、そしてラッパを吹きながら現れる騎兵隊。古い方の基本なんです(笑) その概念を作ったのはジョン・フォードでしょう。ダイナミックなアクションと叙情性、ぜひ楽しんで欲しい作品です。
神の所業。映画はこれ以上生産されなくてもいいのではないかとまで思う。モニュメントバレーを煙を巻いて疾り抜ける馬たちの美しさよ。
いけ

いけの感想・評価

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フォンダを神話化するジョン・ウェイン
西部劇の神話作用に自覚的なフォード
SKE

SKEの感想・評価

4.0
ここでのジョンウェインのウイスキーボトル投げが、最長飛距離を記録してると思う。
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