アパッチ砦の作品情報・感想・評価

「アパッチ砦」に投稿された感想・評価

シズヲ

シズヲの感想・評価

4.0
後の「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」に繋がる騎兵隊西部劇。辺境の小さなコミュニティーを舞台にしたドラマとしての要素が強い作品で、兵卒達のコミカルな掛け合いや令嬢と若き将校の恋愛模様などアパッチ砦内の人間模様が魅力的。登場人物達が良い味を出しているおかげで物語にしっかりと情感が籠っており、またユーモアやドラマ的側面が濃いからこそシリアスな場面での緊張感が対比的に際立っている。フォード監督作なだけにカットも秀逸で、終盤での砂埃と共にアパッチの大軍が消える(そして砂埃の中からデュークが帰還してくる)シーンなんかは兎に角センスに溢れている。

さりげなく西部開拓時代の本質を端的に描写しているのが面白い。インディアンは(まだステレオタイプ的な要素があるとはいえ)れっきとした対話の意思を持つ存在として描かれているし、その上で開戦のきっかけを作るのはインディアンを軽視する白人の権力者なのだ。その権力者にあたるヘンリー・フォンダの傲慢さが顕著に描かれているだけに尚更印象的。

そういった構図に加えて、失態を犯して散っていった指揮官を生き残った者達が「伝説」として称える様子もまた本質的で興味深い。西部の著名人がダイムノベルや新聞などを介し、虚実入り交じった形で語り継がれていることと根本的に同じなんだよな。それでも後年の西部劇に見られるようなシニカルな眼差しは加わっていないし、本作の骨子はあくまで純粋な娯楽性なのが面白い。名も無き騎兵について語るラストのデュークの台詞が渋い。
U

Uの感想・評価

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2019.2.3 DVD #29

「一杯の酒で争い合うくせに、戦場での水筒の残りの一滴は譲り合う」
J・フォード騎兵隊三部作の1作目
舞台は僻地にある前線基地、そこで生活する人々の恋模様を叙情的に、騎兵隊の人間的生活をコミカルに、アパッチ族との戦闘を大胆に描く
ハリウッド・ウエスタンの魅力がふんだんに詰め込まれた西部劇でそれだけでも面白いのに、ショットがとても立体的空間的であることに驚いた、すげえ迫力だな
最期まで野望と名誉を貫こうとするサースディ少佐の率いる隊が全滅するシーンは鳥肌モノ!轟々と砂煙を上げながら去っていくアパッチ族、砂煙が消える頃には画面にはアパッチ族は影も形も無い!んー痺れるぜ!
「彼ら死んだ士官たちは生き続ける。永遠に生き続ける。連隊と共に生き続ける。月給13ドル、食料は豆と草。馬の肉も食わねばならぬ。酒を奪い合うくせに水筒の最後の一滴は分け合う。時が流れようと大事な心はそこにある。彼らの軍人としての魂は引き継がれていく。」
初西部劇。
序盤からせわしなくドンパチかと思いきや(勝手なイメージですが。)、意外にも砦に暮らす人々のドラマシーンが多かった。結果的にそれらがちゃんと上手く効いて、観る前にイメージしていたような単なる戦いモノではなく情緒溢れる西部劇になっていた。1948年に作られた作品だが2018年に、しかも余り映画を知らない20歳の大学生が観ても未だに大いに楽しめるというのは、娯楽としての強度が如何に凄いかということを思い知らされる。
黄色いリボンを視聴後にこれの続編だと知り視聴。
誰が主人公か分からない。
優秀で懸命な部下のことばに耳を貸さない無能な上官にイライラ。
てぃだ

てぃだの感想・評価

3.0
村上春樹の小説に出てきたのでチョイスしてみたんだけど、えーっと、そんなセリフありましたっけ村上さん?全然わかんなかった。「野蛮人の約束なんか守る必要ない!」ってどっちが野蛮人だかわかんねーなと思いつつ、「君の意見なんか聞いてない!」と言ってたハズの人が「君はいつか司令官になる。その時に指揮しろ」って言うようになるのにちょっとグッときた
中庭

中庭の感想・評価

3.4
手鏡に丸くフレーミングされる中尉と馬のミニマルな躍動。
ジョン・ウェインが戦死した者たちの誇り高さを悼みながら覗き込む窓ガラスには、在りし日の騎兵隊の行進と大空が映り込む。
衣服の着脱を媒介とした物語運びがある。
1SSEI

1SSEIの感想・評価

4.0
最近、例のあのゲームのせいで目下西部劇ブーム継続中ということで、ジョン・フォード製の西部劇
彼のフィルモグラフィの中でも“騎兵隊三部作”の一本に位置づけられ、ジョン・ウェインとヘンリー・フォンダの二大スターを取り揃えた豪華な一本

前半はヘンリー・フォンダ中心で、後半に行くにつれてジョン・ウェインが存在感を強め始める。それが象徴するようにヘンリー・フォンダ的な西部劇とジョン・ウェイン的な西部劇が折衷されたような作品になっている

ジョン・ウェイン的な西部劇ってのは男らしくてダイナミックな銃撃戦があるいわゆる西部劇

一方でヘンリー・フォンダ的な西部劇はジョン・フォードが『荒野の決闘』で完成形にした西部劇というジャンルの中でメロドラマを中心に置いたもの
ヘンリー・フォンダ演じるのはフロンティアに飛ばされて、なにか手柄を挙げて東海岸に帰りたい中佐。そのご令嬢。彼女と恋に落ちる若き士官。そんな彼を誇りに思う、同じ駐屯地にいる老兵の父親などなどなど…

彼らの人間模様や陽気な騎兵隊たちの姿が描かれるメロドラマパートが前半
その間も近郊で一触即発のアパッチ族の砦となんとか調停しようとするジョン・ウェインが同時並行で描かれ、ついに大戦闘シーンに突入する

この情報は入れるべきか否かは迷うところですが、そもそもこの作品はリトルビッグホーンの戦いというもので、第七部隊が全滅したという話を基にしている
だから、最終的な顛末はそうなる…

手柄に急いだ上官の無茶な作戦で兵士たちが無残に命を落としていく
『八甲田山』みたいな、橋本忍脚本か!と言いたくなるような作品。そして意図してかせざるかはわからないけれど、戦争の香りがほのかに漂う
これは強ち間違いではないと思っている
というのも戦後の日本映画を引っ張った人たち同様、ジョン・フォードもプロパガンダ映画の撮影隊として従軍している
互いに敵対しあった国ではあるけれど、上官たちの政治的な作戦のせいで若い命が失われるということ。その悲哀や怒りってことに国は関係ない、なんてことも思ったりして
ほし

ほしの感想・評価

4.0
フォンダが超良い。手鏡の反射といい砂埃に消えるアパッチ族といい、普通見せ場にするようなところを外すのだから多分フォードは王道を行く人ではない。
踊っとらんと早く戦いなさいよ!とおばあちゃんがずっと怒ってましたので3.5とします。