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椿三十郎のkazuuuのレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
4.2
黒澤明監督×三船敏郎の傑作SAMURAI映画。

勧善懲悪、痛快なストーリーが楽しいです。多勢に無勢、圧倒的に不利な状況に、くたびれた浪人(実は強い)と仲間たちが知力を尽くして立ち向かうという構図が、定番ながらも激アツです。

また、三船敏郎演じる主人公:椿三十郎のキャラクターもカッコいい。身だしなみがだらしなく、口が悪い彼は嫌なやつに見えますが、剣の腕前はピカイチで、人情に溢れる武士です。
ヘマばかりする仲間たちに対して、「もうお前らには付き合ってられねえ!」と言いつつも、見捨てられずに助けてしまうギャップが良い。元祖ツンデレキャラとも言えるでしょう。

そして、有名なクライマックスの殺陣シーン。
勝負の世界には先手必勝、という言葉がありますが、現実はそうとも言い切れません。例えば、将棋。基本は先手が有利ですが、プロ同士の戦いではお互い隙なく将棋の駒組みが進むと、どちらも動けない、いわば完璧にバランスのとれた状態になるとのこと。そうすると、次の一手を指す人がそのバランスを崩すしかなく、そこに隙が生まれる。プロ棋士の羽生善治さんがそんな事を言ってました。
この映画のラストでも、剣豪同士が間合いの内で長時間にらみ合います。いわば、お互い隙のない完璧な均衡。そして、どちらかが動いた一瞬で勝負が決する。道を極めた者同士が生む緊張感をスクリーンに反映した部分に、名シーンたる理由があると思います。

本作の名言
「本当にいい刀は鞘に入っている」
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