ちぇりー

テルマ&ルイーズのちぇりーのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
5.0
愚か。されど。愉快、爽快、痛快。
 
ちょっとドキドキなバカンスから一転、ハラハラ展開の逃避行に!…にもかからわず、物語は最後まで爽快に駆けゆく。それも、気持ちがいいほどに。
 
☆アメリカ人が犯罪を犯したら逃亡先は決まって、メキシコ!
イカしたアメ車フォード・サンダーバードで、燦々と降り注ぐ太陽の下、メキシコへと続くグランドキャニオンをひたすら駆けていく。無限に広がる青空と橙色の荒野が織りなす景観が、1990年代特有の映像フィルムと見事にマッチしていた。

☆対照的な二人、テルマ&ルイーズ
テルマのような大人しそうな子ほど開き直った時の強さは未知数であったり、ルイーズのような気の強そうな子ほどピンチ時に日和ったり。実生活にも通ずるリアリティがあってよい。
私、こういうの、たまらなく好きなんです!笑

☆暗雲が立ち込めつつある展開に中指を立てるかのように––––
爆走し、酒を呑み、歌い、ガンガン日焼けまくり、陽気になっていく二人。特に、テルマがタフになりすぎて、ある意味怖い。
 
☆「たとえどうなろうと、この旅は最高よ」
この台詞。無数のパトカーに追われながら吐いたのである。完全にイカれてやがる…笑 ただ、切なくもある。
テルマとルイーズの二人にも、観客にも、〝終わり〟が見えている。だからこそ、複雑な気持ちになっていく私たち観客。それと反比例するかのように、二人とも冒頭とは別人の颯爽たる姿で最後は、翔けた。


バッドエンドに見えない、というのが本作の最大の魅力と思う。あまりにも爽快なもんで、シコリというものが全くない。それが、名作と謳われる所以だろう。また、女同士の友情×ロードムービーと、あまり類を見ないジャンルというのも多くの観客に刺さっただろう。