グルーチョ

独立愚連隊西へのグルーチョのネタバレレビュー・内容・結末

独立愚連隊西へ(1960年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

前作に比べカット数は少なくなっている。冒頭のマラソンの馬鹿馬鹿しさはすごい。スコップを地雷を踏んだと勘違いしてへたりこむシーンで同じカットでその横スレスレをトラックが通り抜けて次のシークエンスに進むとかフランキー堺の首の動きと連動して佐藤允が首を動かすとかとにかく次のアクションへのカッティングのつなぎがとても面白い。

また軍旗を投げてパスするシーンや最後の子供が駆けてくるシーンなどほんとうに岡本喜八の映画のテンポは見ていて気持ちいい。

また、軍旗を守るために愚連隊の面々は命を賭けるのだがその軍旗を焼こうとしたり放り投げたり、また汗まみれにして臭くしてしまう。それは建前ばかり気にする権力者たちへの痛烈な皮肉である。

堺左千夫が死ぬシーンのセリフが絶妙でいいやつだったよ、という仲間にたいして佐藤允が「月並みなこと言うなよ。おかしなやつだったよ。変なところでしにやがって。おかしなやつさ」というセリフがそれまでの堺左千夫のハチャメチャぶりと相まって印象的なシーンになっていると思う。死んでしまう恋人二人も手を握りあうというカットを要所要所に入れているし、死を決しておろそかにしていないのは前作同様である。

敵同士でも顔を見て話をしてしまえばそれは敵ではなく人間になって殺すことがしのびなくなってしまう。そういう人間の生理をきちんと描いている。傑作
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