この主人公の執着はシュールなくらいおかしいけれど、でも同じくらいに実際起こったであろうことも、かなり辛い。
戦争という異常な状況の中では、境界がわからなくなるのかもしれない。
それでも、仲間をそのように扱うことができるんだろうか。わからない。
それでも、「生きたい」と思うんやろうか。
最初は主人公が変だと思っていたけれど、社会というか「仕方ない」がまかり通りすぎるのも変だ。だけど、主人公が執拗に「全てを明かすことが正義」と思っていることが、他の人の供養の仕方を尊重してないことは、問題だとも思う。
対話という点では、主人公のアプローチから学ぶところはあるが、亡くなった人を敬う意味で「明かしたくない」という人の意見を聞かないのは、どうだろうと思う。もちろん、保身のために話したくないという人の「仕方ない」には、主人公のように腹が立つところはある。
だけど、暴力だけは、使わないことが大事だと思う。暴力はやっぱり対話じゃない。
なんだか、すごくいろいろ滑稽にも見えたのが意外だった。自分で殴って、自分で警察やら救急車呼ぶって、わけわからん。
