ゆきゆきて、神軍の作品情報・感想・評価

「ゆきゆきて、神軍」に投稿された感想・評価

ちかこ

ちかこの感想・評価

5.0
面白かった。戦争が背景だから、半端な気持ちでは見れないドキュメンタリー映画。奥崎が純粋かつド直球の行動をするから気持ちが救われた戦争の被害者もいるだろう。ただ奥崎に幾ら迫られても、事実を話そうとしない元軍人の家族や身近な人を想う気持ちも分かる。戦争の前線にいた当事者が終戦後も傷つけあっている姿は考えさせられた。
山田孝之の東京都北区赤羽を観たのをきっかけに出会った映画
色々考えるドキュメンタリー。一つだけ納得出来ないのは自分の考えの押し付け、しかも暴力を使って納得させようとする描写。

戦争の悲惨さを現代の映画のようにCGなどの技術を使うことなく伝えるすごさを感じた。

奥崎氏の考えに共感こそしないが、やはり自分ならどうするのか、

そもそもこんな正常な人間、今の時代にぬくぬくと生きている自分に想像すらできないのかもしれないが、

それでも考えてしまう。
BC

BCの感想・評価

3.9
戦争の真実を追及していく、力作ドキュメンタリー。
観終わった後、ドッと疲れる映画・・・。

主義主張はわからなくはない部分もあるが、
過去にとらわれすぎている奥崎氏はいかにも昭和の男性なんだなと。
奥様はただの置物みたいで人柄が見えてこなくて
夫の意のままに時に身を呈して庇いながらも仕えている従順な昭和の女性。

昭和だからこそ成り立ったドキュメンタリー。

ただ、奥崎氏の相手をぐいぐい論破していこうとする雄弁さは
別の時代に他の方面で活かすことが出来ればなとも思ったりするけど、
感情をコントロール出来ないから、結局は枠から外れた生き方しか出来なさそう。
何度か観ているが、塚本監督の「野火」を観てから観ると、より楽しめるかも知れない。また、この作品の後に「神様の愛い奴」を観ると奥崎謙三の違う面が見えて面白い。
kaomatsu

kaomatsuの感想・評価

4.3
奥崎謙三という、一人の珍妙な男の言動を追った、仰天のドキュメンタリー映画。大真面目な正義を掲げて行動しているつもりが、社会的には身勝手ではた迷惑、きわめて自己中心的…と、できれば関わりたくないような、完全に破綻しまくっているこの男のエゴを、なぜか最後まで興味深く見届けてしまうという、何とも不思議な磁力を持った作品だ。

オープニングが鮮烈。ある田舎での結婚式にて、新郎新婦の媒酌人として淡々とスピーチする、一見生真面目そうな初老の男、奥崎謙三。そのスピーチ内容にまず、度肝を抜かれる。なんでも、花婿を前科一犯と紹介し、奥崎氏自身は、傷害致死罪や天皇にパチンコ玉を撃った罪などで、独房生活13年の前科三犯である、と。そして国家や家族という、共同体に対する痛烈な批判が続く。晴れて家族になる新郎新婦を前に、こんなバチ当たりなスピーチでいいのかね。そしてカメラは室外へ。穏やかな風景と共に映し出される、奥崎氏の愛車にはデカデカと「田中角栄を殺すために記す」の文字が…。初っぱなから、口あんぐりである。

バッテリー商を営む奥崎謙三氏は、妻と二人暮らしで、自称「神軍平等兵」として、孤軍奮闘している一般市民。第二次大戦中に奥崎氏が所属していた部隊で、自分の隊長が二人の部下を射殺した事実があったらしいと知り、終戦後30数年にして、奥崎氏は遺族とともに真相究明に動き出す。生き残った数人の元兵士の家を訪れ、証言をとるべく、彼らの重い口を開かせていくのだが、この映画のキャッチコピー「知らぬ存ぜぬは許しません」そのままに、一つの妥協もせず、場合によっては殴る蹴るの暴行を加えながら、元兵士に口を割らせる奥崎氏。ドキュメンタリー映像として、老人同士が本気で取っ組み合いしている光景は、最高に滑稽だ。最後はその驚愕の真相を突き止めるのだが、手段を選ばず、真実を徹底追究する奥崎氏の行動原理は一見、首尾一貫性があるようで、子供じみてもいて、不愉快かつ痛快きわまりない。

近年この映画を観直し、新たに気付いた点が二つ。ひとつは、これは完全なるドキュメンタリーではなく、カメラを前にした奥崎氏の、演技とまではいかないまでも、若干のオーバーな言動や気分の高揚、したたかな計算などがあり、それが映画を面白くしているんだな、と感じたこと。もうひとつは、この偏屈で迷惑な男に付き合わされながらも、惜しみなく協力した奥崎氏の奥様こそが、この映画の最大の功労者だったこと。ドキュメントと虚構の狭間をゆく絶妙な演出で、奥崎謙三という筋金入りのアナーキストの奇怪な言動を追いながら、戦争がもたらす悲惨さをまざまざと見せつけたこの作品、今村昌平氏が企画とは、妙に納得。いやはや原一男監督、とんでもない映画を作ってしまいましたな。
美脚

美脚の感想・評価

4.0
2017年12月鑑賞。
奥崎謙三はひとりで戦争責任を背負っていた。
小林

小林の感想・評価

3.8
劇映画にすら見えるシーンがいくつかあった
リアルと同居する虚構的な部分を意識して、やっと面白みが出てくる作品かと思う

このレビューはネタバレを含みます

・ドキュメントだが劇映画でもあり演出もヤラセもあり、画面のピリピリ感が尋常ではない
・この奥崎の正義が撮られるうちに暴走する様は原一男VS奥崎のガチンコの仕掛け合い
・ラスト本当の殺人事件を起こして10年の懲役を食らうきっかけの台詞も映像に納められている
・奥崎の奥さんが裏のMVPで、常に奥崎のそばにいてとても興味深い存在だった
・戦争経験者から語られる戦場の様子はどこまで本当なのかわからないほどにわかには信じられないほど壮絶
・映画「野火」と合わせると戦場の日本兵の動きがより具体的に分かるかも
・右手の小指がないジャケットのカットが鮮明に頭に残る
海賊K

海賊Kの感想・評価

3.9
船で妹分と見ることになった前から見たかったけどなかなかチャンスがなかった傑作ドキュメンタリー。
激動の戦後をおう一人の男の下克上。

そこには無茶クチャになるまでの感情と暴力しかない。

もはや無双状態で理解ができないほどに過去と向き合っていくそのむき出しの正義はどこへ向かっていくのか。
kei77

kei77の感想・評価

3.5
凄みのあるドキュメンタリー映画。カルト的人気があるのも分かる。

途中まで何が主題なのか分からず観ていたが、徐々に見えてくる戦中での衝撃の出来事に心底ぞっとした。冷静な口調でカニバリズムについて語る上官が本当に怖かった。
私は奥崎のように、上官達の戦中の行動を責められない。彼らは彼らで生きるのに必死で、滅茶苦茶で、想像を絶する状況だったのだろうと思う。いや、本当に私には想像する事すらできない。

戦後、上官達が過去から目を背けて静かに暮らしている中に奥崎は入っていく。彼の正義はこの「ドキュメンタリーのカメラ」が自分に向いている事で、さらに暴走したのだと思う。アンチヒーローのように、自分の信念に従う彼の姿は時に滑稽ですらあった。


彼自身がああいう人間なのは、生得的なものなのか、それとも戦争が彼をそう変えたのか。


一回見ただけでは会話も聞き取りにくく、内容もよく分からない。が、もう一度観るのは勇気がいるし、多分もう二度と観ない。

でも学生の内に観てよかった作品の1つになりました。
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