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ゆきゆきて、神軍のパケほのレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
4.2
なんと言っていいのか正直難しい。戦争は起こった時点で誰もが被害者ということをまた違った視点で観ることができるのではないかなと。

奥崎さんにとってもこの生き方こそが弔いであり、自分に対する言い訳ともいえる?
誰から話を聞いたとしても食い違い、誰もが事実に対して怒りを持っている。奥崎は怒りを隠そうとはせずにどんな手段であれ、自分の責任で行動していた。
後半からは自身の信念と正義を押し付けるだけに思える部分が多くみえてしまうが。
天罰だ。言動、暴力、全て償いもあるけれど戦争の恐怖、二度と引き起こさないための彼なりの行動と考えると気が狂った人だけでは片付けられない。ドキュメンタリーではあるが、彼なりの発信だったともいえるのかな?

あそこまで激しいことがありながら、平然と角度を変えながら撮影しているので仕組まれたものとさえ思えた。

誰もがありきたりな話はできるけれども、奥崎謙三のような暴力的、真っ直ぐな人物がいないと聞けないことまで収められている。体験したものにしか語れないけれども、その体験を抱えて生きること。その体験がどれだけの影響をもたらすのか。体験自体を口に出すことさえどれだけ苦しい、悲惨なものであったか。想像出来ない。

奥崎謙三という人物の思想やその周りの人の苦悩などフィクションではないのに浮き彫りになっていく。すごいと感じた。
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