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鉄道員(ぽっぽや)のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)
4.8
北の果ての小さな終着駅で、不器用なまでにまっすぐに、鉄道員(ぽっぽや)としての人生を貫いてきた佐藤乙松(高倉健)。人生を振り返り思い出す、同期の同僚の杉浦(小林稔侍)とトンネルの中でガスが溜まった窮地を乗り越えたり、合理化に抵抗する鉄道員がいる中で集団就職の若者のために上京列車を走らせたり、縁あって義理の息子となった敏行(安藤政信)や杉浦の息子秀男(吉岡秀隆)との思い出など、様々な思い出を重ねて生きて来た鉄道員としての生活と妻静枝(大竹しのぶ)と娘の死に目に立ち会えなかったり家族に対する様々な悔恨の念。そんな彼のもとに、ある日愛らしい少女(広末涼子など)が現れる。ありふれた出来事のように思えたこの出会いこそ、孤独な彼の人生に訪れた、やさしい奇蹟の始まりだった…。
浅田次郎の同名小説を映画化。
雨の日も風の日も雪の日も、様々な人を見送り見守って駅の鉄道員として駅を守ってきた乙松。任侠映画が衰退し、日本映画のトレンドが変わっても、求められる役所を愚直に演じてきた高倉健。不器用に己の生きざまを貫く男の佇まいは、まさに重なるものがある。
乙松と杉浦の友情、乙松と妻静枝の不器用な夫婦愛、秀男や敏行の乙松に対する敬意を絡めて、乙松の半生を描きながら、クライマックスに乙松に訪れる優しい奇跡を描いていて、心に沁みるヒューマンドラマに仕上がっていて、クリント・イーストウッドの「許されざる者」「グラン・トリノ」に匹敵する高倉健の集大成の映画として心揺さぶられた。
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