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沈黙のGONのレビュー・感想・評価

沈黙(1962年製作の映画)
4.6
求めていたベルイマン映画であった…

ベルイマン映画はセリフが少なけりゃ少ないほどいい。口なんてものは要らん。『仮面/ペルソナ』とかこの映画みたいな作品をベルイマンは一生撮っていて欲しかった。

タイトル通り沈黙が素晴らしい映画なのだが、感情を言葉で表現しようとした途端陳腐さが露呈して萎える。姉妹ふたりの関係が主軸の映画なのに、セリフを吐く人物が基本的にその姉妹だけだからふたりの関係を描くシーンはどれも面白くないのである…
それに比べて息子さんは極めて優秀で、口を使わず行動で示す。棒立ちしてたり、歩いてるだけでカッコいいショットをキメてくれる。演劇に出演する小人たちも素晴らしい。画面上に存在するだけで異質で不気味。
何をしてんのかは相変わらず分からんが、セリフの排斥とショットの美しさがその悩みを消し去ってくれた。ファスビンダーの映像とかが好きな人ならハマるだろう。



追記:この映画の好きな沈黙シーン
・冒頭、列車内。言葉を排した奇跡の映像の連鎖。
・弾の入ってないピストルを無言でぶちかます息子
・ホテルマンを棒立ちで(ニヤケながら)見つめる息子。ホテルマンが彼に反応した瞬間息子の笑みは消える(これがなかなか笑える)
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